メジャーのオープン戦が2月28日(日本時間3月1日)から始まった。選手や監督の取材は、去年から引き続きZoomで行われている。個人的な話だが、パソコンの音声設定に問題があり、取材相手に声が届いていないことが何度かあった。顔と顔を合わせない、オンライン上だからこそ起こる出来事もある。エンゼルス大谷翔平投手(26)の今季の初Zoom取材でも、ハプニングがあった。

まずは米記者から質問が始まった。Zoomに参加していた日米のメディアにはクリアに聞こえていたはずだが、大谷と水原通訳にはどうやら聞こえにくくなっていたようだ。もう1度質問を言い直しても、声が途切れ、聞き取りづらさは変わらなかった。後に判明した原因は、球団の施設で行われていたWi-Fiの工事だったという。

とはいえ、場は和んだ。米記者はZoomのチャット機能を使い、質問を英文で大谷側に送った。文章で聞くことはめったにないだけに、記者も大谷も思わず笑顔。互いの表情も柔らかくなった。その後、日本メディアからの質問に答える大谷の声が途切れ、今度は大谷が「聞こえました? 聞こえないですか?」と気遣った。最後の方の言葉だけ途切れていたが、同じ答えを最初から言い直す“神対応”をしてくれた。

コロナ禍での取材が制限され、昨年から続く画面上でのやりとり。表情が読み取りにくかったり、相手との距離感がつかめない難しさもある。昨シーズンオフに行ったインタビューで質疑応答のやりづらさを聞いてみると、大谷は「僕は変わらないですよ」とケロリ。どうやら、画面越しでも自然体の大谷のようだ。

今年のZoom取材も既に何度か行われた。気のせいかもしれないが、笑顔を見せ、声のトーンも明るい。再び二刀流として復帰をかけるメジャー4年目のシーズン。今キャンプ2度目のライブBP(実戦形式の投球練習)では100マイル(約161キロ)もマークした。ここまで投打で順調な調整を続けている。充実感があるのは、間違いない。【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)