エンゼルス大谷翔平投手(26)が、メジャー1年目の18年以来、3年ぶりにヤンキースタジアムでプレーした。28日(日本時間29日)、ヤンキース戦の第1打席で右越えに強烈な先制弾を放ち、2試合連発となる26号ソロ。拍手と歓声が上がる中、ダイヤモンドをゆっくり回った。

17年オフに日本ハムからポスティングシステム(入札制度)でのメジャー挑戦を表明し、ヤンキースも獲得に名乗り出た。しかし、早々に脱落。3年前に大谷がヤンキースタジアムでプレーした際は、ブーイングが起こった。当時、球場でファンに聞いた大谷の印象を振り返ってみた。

「僕らは大谷にいい印象を持っているよ。ベーブ・ルース以来のすごいこと(投打の二刀流)をやっている。尊敬に値するね」

20年以上のヤ軍ファンで当時27歳だったディラン・トーマスさんはこう言っていた。17年オフに大谷の獲得合戦からヤンキースが脱落したことに関しても「それはそれ。二刀流選手だし、野球にとっていいことだよ」とポジティブに捉えていた。では、なぜブーイングが起きたのか。

3年ぶりに取材で訪れたニューヨークで改めてファンに聞いてみた。ニューヨーク州に隣接するニュージャージー州在住のクレイグ・セイデンシュワーさん(40)は、「分からないけど、ニューヨーク名物みたいなものだと思う」と話した。熱狂的で知られるニューヨークのファンにとっては、敵チームの大物選手に対してお決まりの“あいさつ”だったのかもしれない。

二刀流でプレーしながら、メジャーの本塁打王争いを繰り広げる4年目。ヤンキースタジアムの観客は、打撃進化を遂げている大谷の各打席を静かに見守っていたようだった。

同球場で初安打となる本塁打を放った6月28日(同29日)の翌日、試合前に大谷は左翼のフィールドで壁当てとキャッチボールで投手調整を行っていた。すると、三塁側スタンドに人だかりができた。二刀流の大谷が見たい-。純粋なファンの気持ちを示しているように映った。【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)

5回、2打席連発となる28号を放った大谷(AP)
5回、2打席連発となる28号を放った大谷(AP)
ヤンキース-エンゼルス戦の6回、グラウンド内に入り取り押さえられるファン(AP)
ヤンキース-エンゼルス戦の6回、グラウンド内に入り取り押さえられるファン(AP)