個性あふれる言動が注目されるカブスの川崎だが、実はとても「聞き上手」な一面を持つ。特に、自分よりも年上の先輩、野球界でいえば「ご意見番」と呼ばれるくらい年配の方々から興味深い話を引き出す技術を持っている。

 今キャンプ中には、元巨人で内野手だった須藤豊氏の話に耳を傾けた。年齢は44歳も違う大先輩だが、こういった年上の先輩がどんな練習をしていたか聞くことは、とても役に立つという。なぜなら「当時は今ほど物が豊かじゃない時代だったから、みんなうまくなろうといろいろ考えて工夫をしながら練習していたからですよ」と話す。

 確かに、現代の日本では、物に恵まれ、何不自由ない環境の中で野球をすることができる。技術を伸ばすための練習器具はもちろんだが、トレーニング理論や機器、栄養学の理論やサプリメントなど、体の土台を作るシステムも発展し、40年前、50年前に比べれば、よりハイレベルなパフォーマンスを引き出せる条件が整っている。

 一方で、かつての名選手たちは、現代と比べれば限られた条件の中でも、語り継がれるような名パフォーマンスを生み出してきた。やはりそこには川崎が言うような「いろいろ考えた工夫」が隠されていたのだろう。先人たちの知恵を少しでも引き出して吸収しようという川崎の「聞く技術」は1つの才能だ。

 昨年12月にドミニカ共和国へ渡ったDeNA筒香は「成長するために自分を不自由な環境に置きたかった」と話していた。不自由な環境の中で、納得のプレーができるようになるためには、やはり「考えながらの工夫」が必要になる。アプローチは違うが、根本の思いは川崎に通じるものがあるだろう。

 身体能力が高いことも必要だが、やはりトップレベルで活躍するには「考える力」がカギになるのかもしれない。【佐藤直子】

(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ベースボールの風」)