ドジャース前田健太投手が、23日(日本時間24日)のジャイアンツ戦で根気強い投球を披露し、今季13勝目(7敗)を挙げました。今年1月に契約した際、右肘に「アブノーマル」な部分が見つかり、地元米国メディアは、シーズンを通して投げられるか、不安視する論調で報じてきました。それでも、現時点で前田はローテーションを飛ばすことなく25試合に先発。勝利数、イニング数など主要部門でチームトップの成績を残しています。

 その一方で、ドジャースは同日、左腕カズミアーの故障者リスト(DL)入りを発表。これで今季27人目のDL入りとなり、ESPNなどによると、過去30年間で2012年のレッドソックスと並ぶ「史上最多」となりました。今季のドジャースは開幕の時点でDL入り選手が10人。23日の時点では15人が故障で離脱しています。しかも、エース左腕のカーショーをはじめ、マッカーシー、柳、ウッドら先発投手だけで7人。開幕ローテで3番手だった前田は、1番手としてライバル球団のエースと投げ合う状況になっています。

 それでも、6月26日の時点で最大8ゲーム差まで広がっていたジャイアンツを逆転し、ナ・リーグ西地区の首位を奪還。ここまでは層の厚さと的確な補強で、故障者の穴を埋めてきました。前田だけでなく、マリナーズ岩隈久志、ヤンキース田中将大も、他の投手陣が脱落する中、開幕からローテーションを守り続け、クオリティーの高い投球を続けています。

 かつて、日本人投手に故障が相次いだ際、米国内では「中4日に順応できない日本人」のイメージが浸透した時期がありました。ところが、近年はストラスバーグ(ナショナルズ)、ハービー(メッツ)ら若き剛腕投手らに大きな故障が目立つようになり、メジャー球界全体の認識も、少しずつ変わってきました。複数のトレーナーは「鍛えるトレーニングも大事だが、シーズン中は休養と回復が最優先」と、プレー習慣などにかかわらず、回復度を重要視する傾向が高まっています。

 ドジャースの「故障渦」を見るまでもなく、一般的に、先発投手のケガには、過密日程と「中4日」が関連していると考えられています。近年は、各球団とも時折中5日、中6日をミックスするようになりましたが、それでも故障者増に歯止めはかかりません。

 日本人であろうと、米国人であろうと、過度の負担が続けば、故障することは変わりません。科学的なトレーニングが日々進歩する時代。そろそろ日程や登板間隔、さらにロースター拡大など、根本的な事項について、再検討する時期が近づいているのかもしれません。