日本から遅れること2週間。メジャーでも春季キャンプがスタートしました。今季は、8球団に10人の日本人選手が所属。招待選手として、メジャーキャンプに参加しているダイヤモンドバックス中後(なかうしろ)悠平投手は「日本のキャンプ初日よりも楽にできたかなと思います」と、スッキリした表情で「初メジャー」を振り返りました。

 メジャーのキャンプは2月中旬に始まり、その数日後、野手組が合流し、ようやくチーム全員が顔をそろえます。午前中に行われる全体練習の時間は2~3時間前後で、ランチタイムはなく、その後は基本的に自由時間。同僚とゴルフを楽しんだり、家族とショッピングに出かける選手も少なくありません。現実的には、2月1日に一斉キャンプインする日本の方が開幕までの期間は長いのですが、それでも、ほとんどの日本人選手は「メジャーのキャンプは長い」との印象を口にします。

 というのも、2月下旬にキャンプを打ち上げ、その後、全国各地でのオープン戦に向かう日本の場合、キャンプ地を離れる時点で「ひと区切り」が付きます。ところが、メジャーの場合、2月下旬にオープン戦が始まっても、基本的にキャンプ地から動くことはありません。つまり、同じ場所に約50日前後滞在するわけです(フロリダ州内の長距離遠征の場合、宿泊するケースはありますが…)。しかも、日本の「3勤1休」「4勤1休」のような習慣はありません。例えば、今年のドジャースの場合、完全休養日は3月9日の1日だけ。ダブルヘッダー6回を含め4月1日までに計41試合のオープン戦が予定されています。

 これほど多くの実戦をこなすわけですから、朝から夕暮れまでユニホームが泥まみれになるような猛練習を続けていては、どんな屈強な選手でも体が持ちません。基本練習の反復などに多くの時間を割く日本に対し、メジャーの場合、技術面は「個人の裁量」。練習過多で故障しないためにも、疲労回復や体調管理も重要なポイントになります。そんな環境に対応しつつ、オープン戦で高いレベルの結果を残さない限り、開幕メジャー枠は勝ち取れません。

 オープン戦の最終戦までが春季キャンプ-。

 「メジャーのキャンプが長い」と言われるのは、決して選手の錯覚ではないような気がします。

【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)