アストロズ青木の日米通算2000安打への期待が日増しに高まっていますが、米球界でも大記録へのカウントダウンが始まっています。メジャー20年目を迎える大ベテラン、レンジャーズのエイドリアン・ベルトレ三塁手(38)が、昨年のイチロー(マーリンズ)以来、史上31人目となる通算3000安打まで、着々と安打を積み重ねています。

 1998年、ドジャースの新星として19歳でデビューしたベルトレは、強打の三塁手として、一躍スターダムを駆け上がりました。04年には48本塁打でタイトルを獲得。その後、マリナーズ、レンジャースへ移籍しても、常に「兄貴分」としてチームの中心的役割を担ってきました。

 記録到達が注目される今季は、キャンプ中に右ふくらはぎを痛め、開幕から故障者リスト(DL)入りし、いきなり出遅れてしまいました。かなりの重症だったこともあり、リハビリが長引いてしまっていましたが、4番で復帰した5月29日以来、4日のアストロズ戦まで6試合連続安打。通算2951安打(6月4日現在)まで積み上げ、大台まであと「49」と迫っています。

 少しばかり意外な感じもしますが、ベルトレが記録を達成すれば、ドミニカ共和国出身としては、初の「3000安打クラブ」に入る選手になります。

 ちなみに、これまで米国出身以外の選手で3000安打に到達した選手は…。

 ロッド・カルー(パナマ) 3053本

 イチロー(日本) 3042本

 ラファエル・パルメイロ(キューバ) 3020本

 ロベルト・クレメンテ(プエルトリコ) 3000本

 今でこそドミニカ共和国出身選手は、メジャーの「外国人」では最大勢力となっていますが、これまでにマニー・ラミレス、デビッド・オルティスらの強打者でも、3000安打には届きませんでした。将来的には、すでに通算600号本塁打を放ったアルバート・プホルス(エンゼルス=2876本)が到達可能ですが、安打数で先行するベルトレの「ドミニカ共和国初」は、言うまでもなく、偉業です。

 言葉だけでなく、文化、生活習慣も違う異国でプレーする障壁は、出身国にかかわらず、少なくないはずです。単純な比較はできませんが、ベルトレの大記録には、母国の先駆者として、イチローと同じ種類の匂いを感じてしまいます。

 今後、故障することなく順調にいけば、記録達成は7月中旬から下旬あたりでしょうか。その際には、イチローの達成時と同じように、母国はもちろん、米国内でも盛り上がることになりそうです。

【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)