確かに、ユニークと言えばユニークですが、ひょっとすると、頭のカタいお歴々から見れば「野球を冒涜(ぼうとく)…」となるのでしょうか。
ペナント争いが佳境に入ったメジャーでは、8月24日からの3日間を「プレーヤーズ・ウイークエンド」と銘打って、限定ユニホームでプレーする週末となりました。選手の個性をアピールするとの大義名分を旗印に、各選手はユニホームの背中にニックネームを付けて試合に臨みました。
たとえば、プホルス(エンゼルス)の「THE MACHINE」、ヘルナンデス(マリナーズ)の「KING FELIX」など、地元紙の見出しになるような著名なニックネームもありますし、秋信守(レンジャーズ)は母国・韓国語で本名を表記するなど、各自が思い思いに「個性」を発揮しています。
昨年から始まったこのユニーク企画。今回の「一席」は、ほぼ満場一致でボックスバーガー(ダイヤモンドバックス)で決まり、ではないでしょうか。ボックスバーガーという名字自体、メジャーでも珍しいのですが、彼の背中には「箱(ボックス)」と「ハンバーガー(バーガー)」のイラスト、ハッキリ言うと「絵文字」のようなノリの刻印がプリントされました。絵文字表記の名前に関して、過去の歴史やデータをリサーチしてもいませんし、今後するつもりも毛頭ありませんが、紛れもなく「史上初」でしょう。球界の常識を覆すようなギャグセンス(?)は、緊迫した場面でマウンドに向かうクローザーの表情とは、あまりにもかけ離れているから、これまた不思議です。
ちなみに、日本人メジャーリーガーは…。
エンゼルス大谷「SHOWTIME」
ヤンキース田中「TANAKA TIME」
ドジャース前田「MAEKEN」
カブス・ダルビッシュ「YU-SAN」
ダイヤモンドバックス平野「YOSHI-SAN」、という感じです。
限定ユニホームといえば、近年は日本球界でも「復刻版」などが定着し、往年のファンならずとも、親しまれているような気がします。
もし、日本で今回のメジャーと同じような企画が実現すると…。
西武中村「おかわり君」
ソフトバンク柳田「ギータ」
DeNA筒香「GO」
と、なるのでしょうか。
言うまでもなく、覇権を競うプロ野球は真剣勝負です。その一方で、プレー以外でも、ファンにより身近に感じてもらうことも、大事な要素です。ニックネーム、愛称は、その一端なのかもしれません。
故川上哲治さんの「打撃の神様」は別格としても、往年の名選手には、ニックネームというよりも「異名」に近い呼び名が付いていました。もし、半世紀ほど前に、この企画が日本で実現していたとすれば、長嶋茂雄さんは「ミスター」または「チョーさん」、王貞治さんは「BIG 1」「ワンちゃん」、野村克也さんは「ノムさん」「月見草」のニックネームを背負ったのかもしれません。
基本的に、米国人は「笑い」と「ユーモア」が大好きです。「箱」と「ハンバーガー」の絵文字は少しばかり破天荒かもしれませんが、とりあえず「笑い」を取ればOK。ニックネームを耳にするだけで、選手の顔が浮かぶような個性的な選手が増えれば増えるほど、野球界をにぎやかに、より魅力的にしてくれるような気がします。