本年度のメジャー「野球殿堂入り」の各4氏が、このほど発表されました。とりわけ、史上最多となる公式戦通算652セーブ(ポストシーズン42セーブ)を記録したマリアーノ・リベラ氏(元ヤンキース)が、史上初となる満票(全425票)で選出されたことが、大きな話題を集めました。過去の最多得票でもある16年のケン・グリフィーJr氏(元マリナーズなど)の99・3%を上回ったことで、あらためて時代の変遷が浮き彫りになったような気がします。

リベラ氏以外、選出された3氏の得票(75%以上が選出)も公表されました。

エドガー・マルティネス氏(元マリナーズ) 85・4%

ロイ・ハラデー氏(元ブルージェイズ、フィリーズ) 85・4%

マイク・ムシーナ氏(元オリオールズ、ヤンキース) 76・7%

殿堂入りの資格に関して、かつては救援投手、指名打者への評価に関して「?」を付ける傾向があったことは否定できません。投手であれば「先発・完投」、または多くの投球回数を投げることが美徳とされていました。打者に関しても、打つだけでなく、守備を含めて評価される時代が、長く続いていました。その一方で、分業制の時代が定着し、クローザーを含めた救援投手の重要性が認識され、同時に指名打者への認識も少しずつ変化してきました。その結果が、リベラ氏の満票と、資格最終年の10年目でのマルティネスの選出だったような気がします。

では、禁止薬物使用疑惑のある選手が、将来的に殿堂入りする可能性はあるのでしょうか。メジャー最多の762本塁打を放ったバリー・ボンズ氏、サイ・ヤング賞7回、通算354勝を挙げたロジャー・クレメンス氏は、今回も選出されませんでした。もっとも、初年度の30%台から今回は約60%近くまで得票率を伸ばしており、最終年の2022年まで75%に到達する可能性は残されています。

ステロイドがまん延した時代を球界全体の「悪」として捉えるか、あくまでも使用した選手の個人的な「罪」として捉えるか。依然としてスポーツマンシップに反するとして、投票に否定的な記者も数多くいます。その一方で、薬物使用が判明したアレックス・ロドリゲス氏らの場合、出場停止処分を受けたことで「贖罪(しょくざい)」は済んだとする意見もあります。

投票するのは全米野球記者協会(BBWAA)の記者ですが、将来的にはファンをはじめとする社会全体の声が、影響するのではないでしょうか。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)