2月に入り、日本各地のキャンプ地からは「球春便り」が耳に届く季節になりました。プロ野球選手にとって、キャンプインの2月1日は新しいシーズンの「正月」とも言われていますが、メジャーの場合、少しばかり趣が異なります。

基本的に、バッテリー組と野手組のキャンプインが異なるだけでなく、各チームによっても「初日」の設定はバラバラです。日本のように、全員でキャンプ地へ移動後、整列して歓迎セレモニーを行うことなどなく、基本的には指定された集合日までにキャンプ地入りしていることが確認されていればOK。昨オフ終了後、「トミー・ジョン」と呼ばれる右肘手術を受けたエンゼルス大谷のような故障者を除けば、オフ期間の自主トレ、調整などの強弱は、ほぼ各個人の判断に任されています。

その一方で、いざキャンプがスタートすれば、極めてシビアな現実、いわば「サバイバル」が待ち受けています。

たとえば、今季のマリナーズの場合、開幕までの日程は、かなり切迫しています。

▼2月12日 バッテリー組キャンプイン

▼同16日 野手組キャンプイン

▼同21日 オープン戦スタート

▼3月13日 オープン戦最終戦

▼同20~21日 日本開幕戦(対アスレチックス=東京ドーム)

各チームとも、キャンプインした直後、一定の調整期間はありますが、チームの全体練習は、ごくわずかです。球団にもよりますが、それらの内容は、反復や徹底というより、確認程度と言ってもいいでしょう。裏を返せば、個人の調整遅れは致命傷でもあり、場合によっては戦力外通告にも直結しかねません。今季のマリナーズの場合、この間、東京滞在時を除くと、完全休養日は3月4日だけ。日米間の移動もあるだけに、選手への負担は、そう簡単には算出できません。それでも、当落線上にいる選手は、目の前の試合で結果を出さない限り、最終的にはメジャーで生き残れない現実が待ち受けています。

つまり、好条件で契約した菊池のみならず、大ベテランのイチローにとっても、春季キャンプは、極めて大切な期間です。

つまずいたり、出遅れれば、すぐに補強もすれば、隙を狙われる世界-。

常に、生き残りをかけて挑み続けるメジャーリーガーのプレーや結果だけでなく、その言葉の重みを、あらためて考える季節が近づいてきました。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)