晴れているにも関わらず試合中止を伝える電光掲示板(ロイター)
晴れているにも関わらず試合中止を伝える電光掲示板(ロイター)

ブーイングこそ聞こえませんでしたが、スタンドのファンの「?」が、球場内に充満していました。

5月22日(日本時間23日)に予定されていた「エンゼルス-ツインズ戦」が、グラウンドコンディション不良のため、中止となりました。夕刻からの雷雨は、確かに激しかったのですが、試合開始予定の1時間以上前に降りやみ、まぶしいばかりの晴れ間も顔をのぞかせました。その後、グラウンドキーパーが総出で整備を試みていましたが、結局、中止が決定。他の球場であれば考えられない、「晴れているのに中止」という事態になりました。

エンゼルスタジアムで試合が中止となるのは、2015年7月19日(対レッドソックス)以来、実に4年ぶりでした。それ以前にさかのぼると、1995年6月16日(対ホワイトソックス)。つまり、約25年間で2回目という、めったにお目にかかれない「珍事」となりました。

というのも、カリフォルニア州南部のアナハイムにある同球場は、基本的に雨が降らないことを前提に造られていることが判明しました。もちろん、同地区に雨が降らないわけではありませんが、雨期は10月末から4月上旬。つまり、野球シーズンは乾期にあたるため、「雨対策」は必要ないという、合理的かつ、まさに「ドライ」な理由からか、排水施設がまったく整備されていません。たとえ、多少の雨が降ったとしても、通常はお湿り程度。空気が乾燥しているため、自然に乾くというわけです。

この日は、雨がやんだ後、内野を覆っていた巨大シートをはがし、たまった水を外野部分に移動させたのですが、排水路がないわけですから、大量の水の逃げ場はありません。オースマス監督ら関係者がボールを転がして状態をチェックしたところ、水しぶきをあげながら蛇行して急激にストップ。田植え直後の水田のようなグラウンドでは、さすがにプレーは不可能と判断したようです。

その一方で、夏場にかけて不規則な降雨に見舞われることが頻繁なヤンキースタジアムやフェンウェイパークなどには、ダッグアウト前やグラウンドの外周付近に排水溝があります。外野の芝生下の数カ所に排水口が設置されている球場も珍しくありません。つまり、雨さえやめば、整備にある程度の時間を要することはあっても、めったなことでは中止にすることはありません。

ちなみに、この試合で大谷翔平投手は休養のため、スタメンから外れ、代打で待機していました。

大谷は出ない…。

しかも、晴れているのに中止…。

多忙な日程をやりくりし、チケットを手配して球場を訪れた大谷クン目当てのファンは、どんな思いで家路に就いたのでしょうか。

整備を行うエンゼルスタジアムのグラウンドキーパーたち(ロイター)
整備を行うエンゼルスタジアムのグラウンドキーパーたち(ロイター)