日本から海外でのプロ契約を目指す選手が、メジャーのキャンプ地でもあるアリゾナ州の各地で奮闘しています。

NPBや社会人、大学、高校出身だけでなく、米国、ドミニカ共和国出身の24選手で編成されたチーム「アジアン・ブリーズ」が、同地でトライアウトを目的とした練習試合を始めました。監督、コーチは主に米国人。つまり「寄せ集め」のチームなのですが、1日に韓国のハンファ・イーグルスと初戦を行ったのをはじめ、MLBのマイナーチームなどとの間で、計11試合を行う予定。各国のスカウトに告知して各選手の能力を判断してもらうという、ユニークなツアーです。

元楽天の横山貴明投手(28)もメンバーの1人で、イーグルス戦では2回を無失点と好投。楽天時代の上手投げから横手投げに変えたものの、最速90マイル(約144・8キロ)をマークするなど、再出発を目指してアピールしました。

早大から2013年ドラフト6位で入団。3年間で30試合に登板しましたが、18年オフに戦力外通告を受けました。それでも、野球を続けたい一心で、昨年はメキシコのプロリーグ「メキシコシティー・レッドデビルズ」でプレー。「日本で戦力外になった選手のハードルは高い。でも、今回もプロとして契約することが目標です」。すでにアスレチックスがマイナー契約で興味を示すなど、今年もプレーする場所を得る可能性はありそうです。

2018年からスタートした「アジアン・ブリーズ」は、同年は台湾、昨年からアリゾナでプレー。昨季は横山をはじめ7選手が米独立リーグやメキシカン・リーグ、オランダのプロチームと契約を結びました。渡航費をはじめ同地の滞在費、宿泊費など総額約50万円はすべて自己負担。チームを統括するCEO色川冬馬氏(30)は「彼らの目標はプロになること。でも、たとえプロになれなかったとしても、彼らは日本野球界を支えていく人材になるです」とバックアップする理由を話しています。

最高峰MLBの華やかさとはまったく無縁ですが、キラキラとした目でボールを追いかける彼らの将来に、ぜひ期待したいものです。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)