台湾に続き、韓国でもプロ野球が開幕したことが、米国内でも注目を集めています。スポーツ専門局のESPNが放映権を獲得し、1日1試合、週6試合の生中継を開始しました。これまで、米国でWBCの予選や日米野球が中継されたことはありましたが、他国のプロ野球が放送された記憶はありません。それほど米国民は野球、そしてスポーツ中継を待ち望んでいるということなのでしょう。

韓国とは時差があるため、生放送は米東部時間の午前1時~午前5時30分開始と、通常の生活をしているファンが見るのは難しいかもしれません。当然のように、メジャーとはレベルの格差もあります。それでも、ほぼすべてのスポーツイベントが延期または中止され、外出禁止令が続く現状では、魅力的なコンテンツとして考えられています。同局の編成担当副社長は、「私たちは野球の試合を伝えてきた長い歴史があります。これらのライブイベントをスポーツファンに提供できることをうれしく思います」とのコメントを発表。実況アナウンサーやゲスト解説者も、MLBの全国放送と同じように看板スタッフを現地へ送り込んでいます。今後は、定期的に韓国プロ野球の結果や話題をニュースでも報じる予定で、ポストシーズンの放映権も獲得しています。

もし、日本のプロ野球が今の時期に開幕していれば、同局だけでなく、他のテレビ局も中継権獲得に動いていた可能性はかなり高いと思われます。そうであれば、米国で日本の野球中継を楽しめたわけです。個人的には少し残念ですが、今も日本は緊急事態宣言が続いているわけですから、あくまでも仮定の話ですし、仕方ありません。

現時点で、メジャーのキャンプ再開、公式戦開幕は不透明なままです。7月上旬開幕を目指していると言われていますが、開催地にしてもアリゾナ、フロリダのキャンプ地案を含め、いろいろなアイデアが話し合われています。依然として無観客試合に抵抗感を示している選手もいます。

その一方で、この期間を有効利用して、他国の野球を知ろうとする姿勢は興味深いところです。韓国プロ野球の全米生中継は、スポーツを楽しむことが、米国人にとって生活の一部となっていることの表れではないでしょうか。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)