東京五輪が無事に開幕し、日本は五輪一色ムードのようですが、米国に滞在していると、五輪で盛り上がる空気はなかなか味わえません。もちろん、テレビで中継されていますが、基本的には人気競技がメインで、時差があることもあり、あとは細切れのダイジェストばかり。インターネットで検索すれば、手軽に見ることも可能なのでしょうが、国全体が熱狂する雰囲気はほぼ感じられません。

特に、野球界の場合、何事もないかのようにメジャーの公式戦が行われているため、五輪への関心が薄いのも仕方ありません。

その一方で、08年の北京以来、復活した五輪野球に強い興味を持っている選手もいます。2015年MVPのブライス・ハーパー(フィリーズ)は、今季の開幕前、地元紙のインタビューでメジャーリーガーの五輪参加を呼びかけました。

「本当に野球を全国規模の人気にしたいなら、五輪のような国際的な大舞台で僕らが試合をする必要性がある。自分の国のために戦うことは、とても素晴らしいこと。そこに人気のあるメジャーリーガーたちが参戦できるようにする方法を探さなくてはならないと思う」。

昨年来、深刻なコロナ禍で野球界の経済が低迷したこともあり、野球人気の復活のためにも、スター選手が参加する意義を訴えていました。

「世界中が注目する五輪の舞台で、僕やトラウト(エンゼルス)が大谷と対戦しているところを想像してみてほしい。それはファンにとっても、そうでない人にとっても、素晴らしい経験や光景になるだろう」。

もっとも、ハーパーの願いもむなしく、今回の東京五輪でもメジャーリーガーの参加はかなわず、米国代表は元メジャーリーガーやマイナーの選手で構成されています。

24年のパリ五輪で野球は競技として採用されておらず、となると、28年のロサンゼルス五輪が頼みの綱となりそうですが、MLB機構が公式戦を中断しない限り、メジャーリーガーの参加は認められません。ロブ・マンフレッド・コミッショナーは、これまで五輪期間中の中断について「考えていない」との姿勢を崩しておらず、ロス五輪での野球復活すら危ぶまれています。

7年後の28年には、ハーパー35歳、トラウト36歳、大谷34歳。

現役バリバリで活躍している可能性も高く、彼らトップメジャーが参加すれば、五輪野球への注目度も格段にアップするはずなのですが……。