偶然かもしれませんが、今季のメジャーでは「兄弟対決」が注目を集めるケースが目立っています。

6月24日の「パドレス-フィリーズ戦」では、パドレスの兄オースティン・ノラ捕手(32)が、フィリーズの弟アーロン・ノラ投手(29)から決勝タイムリーを放ち、1-0の勝利に貢献しました。過去の対戦は4打数無安打と弟が抑え込んでおり、この日が兄にとって初安打。兄オースティンが「我々が勝ってうれしいよ。でも、弟は負けたけどね」と言えば、弟アーロンは「今日の彼はよくしゃべるね」と、ジョーク交じりにコメントしています。

6月18日には、カブスのウィルソン・コントレラス捕手(30)と、ブレーブスの弟ウィリアム・コントレラス捕手(24)の直接対決が実現しました。4月28日の同カードでは、試合前に2人がスタメン表を交換。初の同時出場となったこの日は、兄ウィルソンが第1打席に向かった際に、ホーム付近でハグを交わし、感動的なシーンとして話題を集めました。2人は、故郷ベネズエラからメジャーを目指してそれぞれ渡米。弟ウィリアムは「一緒のフィールドに立つという夢が実現した」と感激に浸り、兄ウィルソンは「このことは一生忘れない」と涙を浮かべていました。

4月11日には、パドレスのテーラー・ロジャース投手(31)とジャイアンツのタイラー・ロジャース投手(31)の「双子対決」が初めて実現しました。見た目はそっくりの一卵性双生児ですが、左腕テーラーに対し、タイラーは右の下手投げ。この日は、セットアッパーとして救援したタイラーが勝ち越し点を許し、クローザーのテーラーがセーブをマークするという、明暗を分ける結果に終わりました。昨季まではテイラーがツインズに所属していましたが、今季から同地区のパドレスにトレード移籍したため、今後も双子対決は頻繁に実現しそうです。

ただでさえ、メジャーリーガーになることは簡単ではありません。それが兄弟そろって同じグラウンドに立つとなれば、感慨深いのも当然でしょう。

兄弟メジャーリーガーだけでなく、親子や親戚メジャーリーガーが多いのも、米国野球の環境の良さや底辺の広さを表しているような気がします。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)