昨季世界一で今季ナ・リーグ東地区を制したブレーブスが、ワイルドカードの第6シードから勝ち上がったフィリーズに敗れ、連覇を逃しました。今回、ブレーブスが敗退したことで、1998年から2000年まで3連覇したヤンキース以来、またしてもワールドシリーズの連覇は夢と消えてしまいました。

1903年に始まったワールドシリーズでは、ヤンキースが49年から5連覇したのが最長で、このほか、ヤンキースが39年から4連覇、アスレチックスが72年から3連覇、ブルージェイズが92年から2連覇するなど、連続世界一のケースがないわけではありません。ただ、近年では、ジャイアンツが2010年からの5年間で3度の世界一に輝きながらも、連覇はできませんでした。ワイルドカードなどポストシーズンの進出枠が増え、試合数が増加したこともあり、最後まで勝ち抜くことが難しくなってきたことが一因とも考えられています。

また、資金力が潤沢なドジャースやヤンキースは別格ですが、たとえ世界一になっても、高額年俸の主力選手を維持できない球団は、放出せざるを得なくなるため、翌年以降、大胆な「ファイアセール」に踏み切るケースも少なくありません。たとえば、19年にワイルドカードから世界一まで駆け上がったナショナルズは、主力を続々と放出した翌年から今季まで3年連続最下位と低迷。今季はメジャーワーストの107敗を喫し、首位ブレーブスに46ゲーム差をつけられました。

毎年、高いレベルで戦力を維持するためには、資金力だけでなく、スカウティングや育成システムの充実も不可欠で、それだけ「常勝軍団」を築くことは簡単ではありません。

現時点(15日現在)では、ブレーブスだけでなく、今季メジャー最多の111勝を挙げたドジャースもすでに敗退しました。その一方で、ワイルドカードのパドレスやフィリーズが勝ち上がっています。

米球界では「強いチームがペナントを制し、熱いチームがポストシーズンを制す」と言われます。

いずれにしても、メジャーでは、今後もしばらくは「戦国時代」が続きそうです。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)

勝利に歓喜するフィリーズの選手(AP)
勝利に歓喜するフィリーズの選手(AP)