日本球界では、プロ野球の春季キャンプやメジャーリーガー5人が参加するWBCの話題が注目を集めていますが、米国では今オフFAとなるエンゼルス大谷翔平投手(28)の移籍先の話題が、連日のようにメディアやSNS上で取り上げられています。

というのも、1月下旬、オーナーのアート・モレノ氏が突然、昨年来進めていた球団売却計画を中止することを発表。当面は、球団経営を継続することになりました。今後、同氏は多額な資金を投資してチーム再建を図るのか、それとも数年内に再び売却を検討するのか…。これまでは新オーナーの意向次第と見られていましたが、体制維持によって、逆にエンゼルスの将来が見えてこなくなったこともあり、メディアやファンの間で大谷の処遇が論じられるようになったためです。

「FOXスポーツ」は、移籍先の予想ランキングを掲載。1位メッツを筆頭に2位ドジャース、3位パドレス、4位ヤンキースと、資金力が潤沢で大谷が希望すると言われる「勝てるチーム」を上位に挙げました。

その一方で、「MLBネットワーク」でリポーターを務めるアラナ・リッゾ氏が「大谷はアナハイムを去るだろう」と発言したことで、SNS上では論戦が白熱化。「大谷は西海岸を好んでいる」、「メッツは大谷への攻勢を止めないだろう」など、さまざまな意見が飛び交っています。

もっとも、これらはあくまでも臆測で、大谷自身は何も反応していません。ただ、論戦や予想にほぼ共通しているのは、エンゼルス残留の線が薄いことです。裏を返せば、今オフのエンゼルスは積極的な補強を進めてきたにもかかわらず、今季も苦戦すると判断されているのでしょうか。昨季終了直前、年俸調停を避け、1年3000万ドル(約39億円)で契約したことについて、代理人のネズ・バレロ氏は「今は1年に集中しているし、1年契約が適切」と説明しています。長期の契約延長を選択しなかったこともあり、移籍濃厚と見られている背景も見逃せません。

いずれにしても、今季の大谷はグラウンド上のプレーだけでなく、オフシーズンまで主役を務めることになりそうです。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)

大谷翔平(22年10月撮影)
大谷翔平(22年10月撮影)
大谷翔平
大谷翔平