MLBが今シーズン、選手たちのプレーに大きな影響を与えるかもしれない新ルールを導入する予定だ。その新ルールとはゲームの時間短縮を目的としたものである。

 スポーツに関するデータ企業エリアス・スポーツ・ビューローによれば昨シーズン、9回での平均ゲーム時間は3時間2分だった。これは4大プロリーグのなかで、アメリカンフットボールNFLの3時間9分に続く長さである。これをもっと短くしようというのが今回の新ルールである。

 例えば、攻守交代は基本的に2分25秒以内、全米テレビ中継の場合は2分45秒以内と定められた。また打者は紹介ミュージックが終わってから20秒以内にバッターボックスに入り、打者がボックスに入ったらすぐ投球を開始すること、などもある。

 そんななかで特に影響を与えそうなのが、1人の打者に対する投球間隔を短くする目的の項目だ。これまでも投球間隔は20秒以内とされてきたが、打者が打席をはずし、次の球を予想したりするため、ほとんどの場合20秒以上かかっていたのである。そのため今回の新ルールでは打者は一度打席に立つと少なくとも片足を常にボックスに入れておかなければならない、とされたのだ。空振りしたり、ワイルドピッチの時などは外してもよいとされているが、ほとんどの場面で打席を外せなくなる。

 これに違反した場合、警告の対象となる。4月いっぱいは試行期間とされるが、5月からは500ドルの罰金が科される予定だ。

 この新ルール、これまでいわゆるルーチンに時間をかけていた打者にはかなりの影響を与えそうである。全国紙USAトゥデーは影響を受けそうな選手としてレッドソックスの強打者デイビッド・オルティス一塁手に取材した記事を先月25日付けで掲載した。それによれば、オルティスは罰金で「財産がなくなるかもしれない」と語ったものの、「自分のやり方を変えるつもりはない。彼らが何を言おうと気にしない」とこれまでどおりにプレーすることを示唆したということである。

 昨年オルティスは602回打席に立ち、対戦した投球数は2409だった。打席を外せないルールが適用される状況は1000近くあったと見られる。罰金が打席ごとに科されるか、投球ごとなのかはっきりしないが、最大で50万ドル近くに達する可能性もあるのだ。もっともオルティスの年俸は今シーズン、1600万ドルであり、これぐらい痛くないのかもしれないが。

 多くの選手が反発をしているこの新ルールがうまく機能するのか、それとも無視する選手が続出するのか、興味深く見守っていきたい。