二刀流大谷翔平投手が今オフにMLBに挑戦するかどうかが注目されているが、アメリカではもう一人二刀流選手のMLB入りに注目が集まっている。その選手とは今年のドラフトでレッズが全体2位指名したハンター・グリーン投手兼遊撃手だ。

 1999年にロサンゼルスで生まれ、現在17歳のグリーンは早くからその頭角を現し、ロサンゼルスのノートルダム高校では2年生で防御率1・63、打率4割1分9厘を記録。2015年に行われた18歳以下のワールドカップでアメリカ代表に選出されている。さらに昨年は防御率0・75、打率3割2分8厘という驚異的な成績を残しているのだ。球速は既に164キロを記録しているということだ。

 これほどの逸材をアメリカのメディアが見逃すはずはなく、4月には老舗スポーツ誌スポーツイラストレイテッドが「ベースボールが必要としているスター」という見出しをつけて表紙に起用したほどである。10代の少年が同誌の表紙を飾ったのは2010年の現在ナショナルズで活躍するブライス・ハーパー外野手以来ということだ。いかに期待されているかがわかるだろう。

 一方、スポーツ専門局ESPNのキース・ロー記者は期待される要因の一つにグリーンが黒人である点を指摘していた。「彼は多くの人たちから彼がベースボールの未来の顔になるだろうと取り上げられました。それは彼が黒人だからです。MLBは若い黒人がスポーツをプレーし、スポーツを見ることにおいて多くのトラブルがありました。黒人のコミュニティでこのスポーツへの関心を取り戻す近道は黒人のスター選手が現れることです」としている。黒人メジャーリーガーは1980年代には全体の約20%を占めていたが、現在は8%にまで下がっており、黒人のスター選手誕生を期待する向きは多いのだ。

 またグリーンが社会奉仕活動に熱心で、さらにヨガやバイオリン、韓国語を習うなど多彩な私生活を送っていることから、そのスター性とカリスマという面でもスターとなる素質は十分にあるとする人もいる。

 果たしてグリーンが期待通りにスター選手に育ってくれるかどうかはまだ時間が必要だろう。その前に、投手でいくのか野手でいくのか、はたまた二刀流を続けるのか、大谷と同じ課題で大きな議論を生むのは必至だが。