2018年MLBポストシーズンはワールドシリーズ進出をかけ、ナ・リーグ優勝決定シリーズを現地12日からドジャースとブルワーズが、ア・リーグ優勝決定シリーズを13日からアストロズとレッドソックスが争う。そんななかMLBがドジャースのワールドシリーズ進出を望んでおり、そのためには何かするかもしれない、とMLBチームの元社長が発言し、周囲をざわつかせている。

この発言があったのはスポーツ専門ラジオ局ESPNのトークショー。10日の放送には元マーリンズ社長のデイビッド・サムソン氏が出演していた。番組で司会者がサムソン氏に「あなたは重役、元重役として真実を話すことをためらわない人物だ。人々が他で聞けない何かを話して欲しい」と問いかけたところ、サムソン氏は「MLBは、ドジャースがブルワーズを破るためにできることを何でもやろうとしている」と答えたのだ。

この発言に司会者は驚きの声を上げたものの、この発言が真意なのか冗談なのかを確かめることなく番組はそのまま進行してしまった。番組終了後司会者は「真実を話すことをためらわない」という投げかけにサムソン氏が発言している点は注目に値するとしたうえで、おそらく失言だったとコメント。「来週彼と話すつもりだ。彼はあの発言をすべきじゃなかったとわかっている」と話したということだ。

実際、MLBはドジャースが進出して欲しいと思っているのだろうか。実はこのチームに進出してほしいといった声が特に放送、広告業界で出るのは珍しいことではない。背景にあるのはテレビ中継の視聴者数への期待だ。視聴率などを調査しているニールセンによればドジャースの本拠地ロサンゼルスにはテレビを所有する家庭が527万余りあり、これはアメリカ全体の4.8%近くで、ニューヨークに続きアメリカ第2位のマーケットである。それに対しミルウォーキーは約85万世帯で0.77%、36位だ。大都市のチームが進出すれば、ホームのファンも多く、テレビ中継の視聴者数、視聴率も上がりやすいと考えるのも当然かもしれない。現在のMLBはテレビ中継が大きな収益源になっているため、MLBもそれを望んでいるのでは、という論理である。

とはいえ、ドジャースを勝たせるためにリーグが何かする、というのは飛躍しすぎだろう。今回の考え方でいえば、ア・リーグは第9位の都市ボストンを本拠にするレッドソックスに対し、アメリカ第7位のヒューストンのアストロズがわずかに上回っており「本命」ということになるのだがさて。