現地11月27日、MLBはIR(統合型リゾート)大手でカジノやスポーツ賭博を運営するMGMリゾーツと公式ゲーミング・パートナーと公式エンターテイメント・パートナー契約を結んだと発表した。

これは今年5月に連邦最高裁判所がスポーツを対象とした賭博の解禁を認める判断を下したことに端を発するもの。それまでは1992年に制定された連邦法により、スポーツ賭博はネバダ州やモンタナ州など4州のみが合法とされ、実質的にネバダ州ラスベガスでのみスポーツ賭博が合法的に実施されていた。ただ財政難で新たな収益源を求める州や非合法なスポーツ賭博市場が1500億ドル規模に達していたことなどの背景もあって解禁を求める裁判が起こされていたのである。

今回の契約により、MGMリゾーツはMLBのリーグやチームのロゴの使用やイベント、メディアでの宣伝が可能となる。またスポーツ賭博を実施するのに欠かせない試合などのデータについて、独占ではないもののMLBから配信を受けることができる。今後独占的なより詳細なデータの配信も開発されるということだ。

ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーは声明で「ベースボール・ファンとMGMの顧客に革新的な経験をもたらすよう、スポーツ・ゲーム分野の業界リーダーであるMGMリゾーツ・インターナショナルと提携することを喜んでいる」とコメントしている。

MGMリゾーツはスポーツ賭博合法化以降、プロスポーツとの提携に熱心で、MLBに先立ちプロバスケットボールNBA、プロアイスホッケーNHLとも同様の公式契約を結んでいた。

また注目したいのは今回の契約における宣伝やイベントを行える地域がアメリカだけでなく、日本も対象となっていることだ。MGMリゾーツは日本法人を設立するなど日本でのIR開発に乗り出していることで知られる。今回の契約がその活動を後押しすることになりそうだ。

では今回の契約はMLBにどのような収益をもたらすのだろうか。ゲーム産業団体アメリカン・ゲーミング・アソシエーションは広告費6400万ドル、スポンサー料6200万ドルなど、スポーツ賭博運営企業とデータ配信会社から計1億5400万ドルもの収益が追加されるだろうとしている。さらにこのままスポーツ賭博を行う州が増えればその収益は11億ドルに達するだろうと予測している。

これまでなかった大きな収益源を得ることになると見られるMLBはさらなる成長に向け、大きな第一歩を踏み出したようだ。