現地11日、レッドソックスはIR(統合型リゾート)大手でカジノやスポーツ賭博を運営するMGMリゾーツと複数年契約を結び、同社がチーム史上初の「公式かつ独占リゾートカジノ」となったと発表した。

契約により今後本拠地フェンウェイパークの外野フェンス、グリーンモンスターや本塁後方にMGMリゾーツのロゴが掲出される他、レッドソックスラジオやチームのメディアに同社の広告が登場することになる。またフェンウェイパークで同社の顧客などが特別なファン体験サービスを受けられるとのことだ。

さらにボストンの西約140kmにあるリゾート、MGMスプリングフィールドでは1年を通して様々なプロモーションイベントが開催され、1月には毎年恒例のレッドソックス・ファンイベントの会場になるという。

レッドソックスのサム・ケネディ社長兼CEOは提携について「これは我々2つのブランドにとって非常に自然なパートナーシップです」とコメントしている。またMGMリゾーツのジム・ムレン会長兼CEOも「レッドソックスとMGMリゾーツの2つの象徴的なブランドがコラボレーションすることで、ニューイングランドとMGMスプリングフィールドだけでなく、他の地域でもベースボールファンに特別なファン体験を作り出すことができるでしょう」と提携の意義を強調した。契約額などについては公表されていない。

昨年5月に連邦最高裁判所がスポーツを対象とした賭博の解禁を認める判断を下したことを受け、現在8州でスポーツ賭博が合法化されており、マサチューセッツ州を含む23州の中でスポーツ賭博法案が審議中となっている。これを受け、昨秋以降アメリカのスポーツ界ではIR企業やカジノと提携する動きが活発化している状況だ。

MLB自体も昨年11月MGMリゾーツとアメリカと日本を対象地域に、公式ゲーミング・パートナーと公式エンターテイメント・パートナー契約を結んでいる。また同社は同様の契約をプロバスケットボールNBA、プロアイスホッケーNHLとも結んだ。

ゲーム産業団体アメリカン・ゲーミング・アソシエーションは広告費6400万ドル、スポンサー料6200万ドルなど、スポーツ賭博運営企業とデータ配信会社から計1億5400万ドルもの収益がMLBにもたらされ、合法化が各州で進めばその収益は11億ドルに達するだろうと予測している。

今回の提携もそんな流れの一環といえるだろう。ただその一方でマイナーリーグ・ベースボールのパット・オコナー社長が、薄給のマイナー選手が八百長の誘いを受ける可能性が高まっているとの懸念を示す事態ともなっている。