MLBが日本に関連する2つの施策で動いた。まず4日発表されたのがNTTとのテクノロジーパートナーシップ契約の締結だ。

NTTは最先端技術を活用した新たな観戦体験をMLBファンに提供するとしている。具体的に挙げられているのが「ウルトラ・リアリティー・ビューイング」と呼ばれる技術。複数の4Kカメラで撮影した映像と音声を組み合わせて12Kなどの超ワイド画像に結合し、それらを遠隔地にリアルタイムに伝送し、映し出すことで、試合会場にいるような臨場感を体験できるという。

まず10月のプレーオフの試合をライブビューイング会場などに中継する。さらに来年以降に本格展開する予定だという。

またNTTはMLB傘下の放送チャネル「MLB Network」の放送システム「NTTボールパーク・カム」の冠スポンサーにもなった。これは全30MLBチームのスタジアムのフィールドとダッグアウトに設置されたカメラをニュージャージー州のMLBスタジオから制御するというもの。このシステムを使用し、試合前後の選手などへのインタビューが毎日同ブランド名で放映される。

ロバート・マンフレッドMLBコミッショナーは声明で「高度なテクノロジーを活用して野球ファンに付加価値を提供するというビジョンを共有し、実行していくことが、私たちがNTTと共に新たな野球体験を創造する礎になっていくでしょう」とコメント。NTTの澤田純社長も「我々の長年にわたる技術革新の実績と経験を生かしてMLBの新たなファン体験の創出とスマートスポーツの実現に貢献していきたいと考えています」とした上で、映像技術のほか「選手のトレーニングなどで手伝えることがあれば、やってみたい」と意欲を示した。

一方、日本市場へサービスを拡大させたのが動画配信のYouTubeだ。同社は今シーズンの13試合に限り、独占的に配信できる権利を4月にMLBとの間で得ていた。しかしその配信地域に関して日本やドイツ、スイスなど23カ国が対象外とされていたのである。

それが9日になって、現地10日に行われたエンゼルス対インディアンス戦から日本、オーストラリア、ニュージーランド、台湾にも配信を開始することが発表されたのである。これで大谷翔平がプレーするようすを生で見られる機会が少しだけ増えたというわけだ。

いずれにせよ、この2つの動きは日本がMLBにとって重要な市場であることを改めて示したといえそうだ。