世界的流行となっている新型コロナウイルス。アメリカでも感染者数が急増しており、移動制限や入国禁止措置などがとられる非常事態となっている。MLBも例外ではなく、開幕は延期され、現在早くても5月中旬、6、7月になるのではという見方も出ている。各チームもスプリングトレーニングを中止に追い込まれた。ヤンキース傘下のマイナー選手2名が検査で陽性と判明している状況だ。

そんななかMLBではコロナショック対策への支援に動き出してもいる。現地16日、MLBと選手会は学校閉鎖などにより十分な食料を得られない人々を支援するため、2つの慈善団体に合計100万ドルの寄付を行うことを発表した。ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーは「この困難な時期に、私たちはコミュニティとして最も脆弱(ぜいじゃく)なメンバーを支援するために社会として結束することが重要です」とコメントしている。寄付を受けるフィーディング・アメリカは影響を受けた子供や家族に食事を提供するため、必要性の高い地域で活動するフードバンクに資金を分配する。一方、ミールズ・オン・ウィールズはこの資金で困窮している高齢者家庭に食事を提供するということだ。

さらに17日、マンフレッド・コミッショナーは収入が減少するスタジアムの従業員に対し、全30チームがそれぞれ100万ドルを寄付することで合意したと発表した。スタジアム従業員は試合ごとに給与を受け取る仕組みになっていることが多く、試合が開催されなければ収入が絶たれることになる。これを支援するのが目的だ。コミッショナーは「この48時間で全チームの代表者から、延期の影響を被る何千人もの球場従業員をサポートしたいという申し出を受けた」とした。

選手も支援に乗り出している。ブレーブスのフレディ・フリーマン一塁手は地元アトランタの3つの慈善団体に合計12万5000ドルを寄付すると発表した。フードバンクに5万ドル、フードサービスを展開するギビングキッチンに5万ドル、救世軍に2万5000ドルを寄付する。フードバンクはこの寄付で少なくとも20万食を提供できるということだ。またギビングキッチンは困窮する従業員の生活費と家賃に充てるという。

一方、カブスでは2人の選手が支援に動いた。アンソニー・リゾ内野手は地元シカゴのルリー小児病院で連日患者のケアに当たる看護師たちに対し、地元のレストランから温かい食事を提供した。看護師たちにとっても、外食控えで収入が減っているレストランにとっても助けとなる活動となっている。

またジェイソン・ヘイワード外野手はやはり地元シカゴで影響を受けた家族に物資と食事を提供している2つの慈善団体に合計20万ドルを寄付した。

開幕時期は依然不透明だが、こうした支援の動きは今後も広がっていきそうだ。