MLBでは短縮された今シーズンの開幕に向けたチームオーナー側と選手会による交渉が続いている。双方歩み寄りは見られるものの、まだ給与削減などで先行きは不透明なままだ。そんな中、現在開催されているのがドラフトである。

有望選手を各チームが指名する恒例のドラフトも新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けることとなった。まず挙げられるのが例年のようにドラフト会場ではなく、オンラインでの開催となっている。これは先にオンラインでドラフトを開催したプロアメリカンフットボールNFLにならったもの。盛り上がりに欠けるところはあるが、感染予防の観点からは致し方ないだろう。

それ以上に大きいのが感染拡大でシーズンを行えていないことによるビジネス面からの影響だ。まず例年ドラフトは40巡目まで開催されていたが、今年はわずか5巡に削減されている。これにより期間も3日間から2日間となり、現地10日に1巡目が、11日に2~5巡目が行われる予定だ。

さらにチームが指名選手の契約金に費やせる上限が昨年と同額に制限された。これまでは3パーセントずつ増額になるように設定されていたのが修正されている。具体的には1位指名権を持つタイガースが841万5300ドル、2位のオリオールズが778万9900ドルといった具合だ。

またその契約金の支払いについても選手会との合意により、延期が可能になっている。指名を受けた選手が契約に署名すると30日以内に受け取れるのは最大10万ドルで、残りの半分は2021年7月1日に、さらに残りは2022年7月1日の支払いとなるのだ。またドラフトで指名されなかった選手との契約金は最大2万ドルに制限されている。

専門誌ベースボールアメリカによれば昨年契約を結んだ指名選手960人のうち680人が2万ドル以上で契約していたという。つまりこの指名巡の大幅な削減とドラフト外の最大2万ドル制限によってチーム側は新人選手に費やす費用を大幅に減らすことが可能になっているのだ。

対して、このことを嫌い有望な高校生選手の場合、契約してマイナーリーグに行くよりも大学に進学する選手が増加することになるという予測も出ている。

そして現地10日東部時間午後7時から開始された今年のドラフトだが、タイガースによる注目のいの一番指名はアリゾナ州立大のスペンサー・トーケルソン内野手となった。大学3年間で54本塁打を放った強打者で、大方の予想通りの指名となっている。