現地18日、MLBはメッツのロビンソン・カノ内野手が禁止薬物の検査で陽性となったとして2021年のシーズン1年間、162試合の出場停止処分を科したと発表した。筋肉増強作用のあるステロイド剤、スタノゾルを使用したとされている。

出場停止期間中は年2400万ドルの年俸は支払われない。ただ契約は23年まで残っており、残り2年間は各年2400万ドルは支払われる見込みだ。

現在38歳のカノは2018年にも利尿作用のある禁止薬物フロセシドで陽性となり、80試合の出場停止処分を受けた過去がある。

05年にヤンキースでメジャーデビューしたカノは、昨年マリナーズからトレードでメッツに入団した。昨年は本塁打13本、打率2割5分6厘と振るわなかったが、60試合に短縮された今シーズンは本塁打10本、打率3割1分6厘と復活していた。通算2624安打は現役3位、334本塁打は同6位である。これまでオールスターに8回、シルバースラッガー賞に5回、ゴールドグラブ賞に2回選出されるなど殿堂入りへの道を歩んでいると思われていただけに残念な結果だ。

メッツのサンディ・オルダーソン社長は同日、「メジャーリーグの合同薬物予防・治療プログラムに違反したことによるロビンソンの出場停止について知らされたことに非常に失望した。この違反は彼にとっても、組織にとっても、ファンにとっても、そしてスポーツにとっても非常に残念なことだ。メッツは、ゲームからパフォーマンス向上物質を排除するためのMLBの取り組みを全面的に支持する」との声明を出している。

今回の処分で皮肉なのはスティーブ・コーエン氏がメッツの新オーナーに就任し、その直後にブロディー・バンワゲネンGMを解任してわずか1週間あまりというタイミングだ。バンワゲネン氏は元カノの代理人で、18年にメッツのGMに就任した直後に、カノを獲得するトレードをまとめたのである。このトレードは物議をかもしたが、当時COOだったジェフ・ウィルポン氏は「私は(カノが)薬物不正行為をしているとは思っていない。私が間違っていると証明されるかもしれないが、彼が薬物不正行為者だとは思わない」と語っていた。

その一方で、地元メディアでは早くもマリナーズが負担するはずだった375万ドルを除くと、メッツは2000万ドル以上カノの年俸負担が浮くことになり、穴埋めにどのFA有力選手獲得に動くべきかという話題が出ている。つくづくシビアな世界だ。