日本ではエンゼルスの大谷翔平投手一色といった状況になった今年のMLBオールスターゲーム。ではアメリカではどうだったのだろうか。

まず目を向けたいのが試合前日に行われた本塁打競争だ。中継したスポーツ専門局ESPNは平均で712万6000人と発表している。これは前回の2019年より13%、18年より19%多い。ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手が優勝した2017年の817万人以降で最多である。さらに現地12日の夜に放送されたテレビ番組の中で最も視聴された番組でもあった。

本塁打競争はオールスターゲーム前のイベントということもあって、どうしても視聴者数は本戦よりも少なくなる傾向がある。実際現在の開催方式となった2015年は713万人に過ぎなかった。過去10年間で700万人を超えたのは3回だけだ。今年は特に関心が高かったことがわかる。

そしてその主役はやはり大谷だったようだ。最も視聴者数が多かったのが大谷とナショナルズのホアン・ソト外野手が対決していた東部時間午後9時30分から9時45分までの時間帯で、実に868万5000人を記録したのである。再延長にまでもつれ込む熱戦もあって決勝を超える視聴者を集めることになったようだ。

抱き合って健闘をたたえ合うナショナルズ・ソト(左)と大谷(AP)
抱き合って健闘をたたえ合うナショナルズ・ソト(左)と大谷(AP)

一方のオールスターゲーム自体はどうだっただろうか。こちらはなかなか厳しかったようだ。地上波FOXがテレビ中継を行ったが平均視聴者数は823万7000人となっている。これは2019年の816万2000人と比べて1%未満の増加にとどまった。スペイン語放送FOXデポルトを加えても830万人である。2018年の869万人、2017年の900万人には及ばない。

実はオールスターゲームの人気は低下傾向が続いている。2016年以前には視聴者数が1000万人を超えることが続いていたし、1990年代前半には2000万人に達することも多かった。過去最多は1980年の3600万人だ。

本塁打競争への関心は高まったのに、本戦自体は低迷する。大谷人気だけでは人気低迷の解決にならないことが示されたともいえそうだ。MLBがリーグ自体の人気を含め、根本的な対策を打ち出していくことが必要だろう。