現地10日に行われたレイズ対エンゼルス戦はエンゼルスにとってなんとも話題豊富な試合となった。

エンゼルスは3回まで毎回得点で8対0と一方的な展開に。これに対し、レイズは4回以降7回まで毎回投手を代える継投策をとって、さらなる失点は許さなかったものの、打線は無安打無得点に抑えられ状況は変わらなかった。そのため投手陣を休ませるため8回にはブレット・フィリップス右翼手を登板させる策に出たのである。

急きょ“二刀流”登板となったフィリップスはマイク・トラウト外野手に本塁打、続く大谷翔平に特大の二塁打、さらにアンソニー・レンドン内野手に本塁打を浴びるなど炎上。特にレンドンに関しては本来右打者ながら左打席に入っての本塁打という珍事となっている。ジョー・マドン監督はレンドンの左打席本塁打について「彼はあれをよくやるんだ。打撃練習とかでね。完璧だったね。野球はこんな瞬間を求めていた」とコメントしている。それでもフィリップスが4失点しながらも1回を投げ抜いたのは褒めるべきなのかもしれない。

ただ打撃以上に大きかったのは先発のリード・デトマーズ投手が無安打無失点のノーヒッターを達成したことだろう。108球を投じて許した走者は四球と一塁手の失策による2人のみ。一方で奪った三振は2つだけで、ノーヒッターで2奪三振以下というのは過去42シーズンで2人目だ。

さらにこれが快挙なのはデトマーズが22歳のルーキーだという点だ。MLBでノーヒッターが記録されたのは316回目だが、ルーキーで達成したのは25人目である。

デトマーズは2020年にドラフト1巡でエンゼルスに入団。その年はコロナ禍でマイナーリーグが中止となり、プレーすることができなかった。昨年2Aからスタートし、8月1日にメジャーデビューを果たし、同月のアストロズ戦では初勝利をマークしている。昨シーズンの成績は5試合の先発で1勝3敗、防御率7・40だった。今回はMLB通算11試合目での記録達成となっている。

デトマーズは試合後「夢見ていたようなこと。とにかく、アウトをとろうと思っていた。それ以外は、あまり分からない」と話したということだ。マドン監督も「今日はそんなに言うことがないよ。とにかく今日はリードが全てだ」とデトマーズを1番に取り上げている。

好調を維持するエンゼルスでは今後もこのような試合が生まれるかもしれない。

エンゼルス対レイズ 8回裏エンゼルス1死二塁、左打席に立ち、2点本塁打を放つレンドン。投手フィリップス(撮影・江口和貴)
エンゼルス対レイズ 8回裏エンゼルス1死二塁、左打席に立ち、2点本塁打を放つレンドン。投手フィリップス(撮影・江口和貴)