現地7日、MLBはMLB選手会、殿堂入りしているケン・グリフィー・ジュニア氏と共同で来年のオールスターウイークに歴史的黒人大学(HBCU)の学生選手によるオールスターゲーム「HBCUスイングマン・クラシック」を開催すると発表した。

HBCUはその名称どおり、古くからアフリカ系アメリカ人学生への大学教育を目的として設立された大学を指す。「黒人のハーバード」と呼ばれるワシントンD.C.のハワード大学やジョージア州のスペルマン大学や、テネシー州のフィスク大学などが含まれる。HBCUスイングマン・クラシックではHBCU1部に所属する大学の選手からスカウト、MLBと選手会の代表者、グリフィー氏によって選ばれた50人の選手が招待されるという。

このゲームが設立されることになった背景には近年MLBにとって課題となっている傾向がある。日本人には意外に見えるかもしれないが、黒人選手の減少だ。2021年の場合、リーグに所属した選手のうち黒人はわずか7%にすぎなかった。

グリフィー氏は声明の中で、メディアへの露出の少なさや経済的な障壁など、HBCUのアスリートが大リーグに進出する際に直面するいくつかの問題に言及している。「長年にわたり、アフリカ系アメリカ人選手の減少を目の当たりにしてきましたが、それは彼らがプレーしたくないからではなく、むしろ彼らが見られていないからです。そのためこの取り組みは、業界が一丸となってこの子たちが大好きなゲームを全米の舞台でプレーする機会を提供するものなのです」とした。

MLBが人種の多様性を強化する取り組みはこれだけではない。2017年にリーグはユースのトップ選手が脚光を浴びられるためのイベント「MLBドリームシリーズ」を創設している。さらにその翌年には「ハンク・アーロン・インビテーショナル」と名付けられた200人の高校生の多様な選手たちのための夏のワークショップを開始した。さらに2021年、ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーはベースボールの多様性に1億5000万ドルを投じると発表してもいる。

わずかだが結果も出始めている。今年のドラフト指名上位5人のうち4人が黒人で、その全員がMLBドリームシリーズに参加した経験を持つ。

とはいえ解決したわけではない。選手会で国際兼国内選手オペレーションを担当するレオノール・コロン氏は声明で「知名度のない黒人選手たちの野球の才能を紹介する機会を作ることは、今後数年間でより競争力のあるエキサイティングなゲームにつながると信じています。ミッドサマークラシックは目標を達成するための重要な手段になれるのです」とその意義を強調した。

黒人選手だけでなく、日本人も含め多様性がさらに広がることに期待したい。