現地19日、AP通信はMLBの2022年選手年俸総額が史上初めて50億ドルを突破し、約52億ドルに達したと報じた。前年の45億ドルから7億ドルも増えており、コロナ禍による影響から完全に脱したことを示している。

この金額には、各チームの40人枠に入った選手の契約全体の年間平均額から算出したもの。さらに、医療費、年金保険、スプリングトレーニング手当、食事代、チップ代、税金などの付加給付が1球団あたり1600万ドル加えられている。

MLBは2022年に108億ドルという記録的な収益も挙げている。特にテレビネットワーク3社との新たなメディア契約により18億ドル、スポンサー契約により12億ドルを得たということだ。

そんななかで労使協定により1チームあたりの年俸総額基準2億3000万ドルを超えて、いわゆるぜいたく税を支払ったのはドジャースの3240万ドルをトップに、メッツ、ヤンキース、フィリーズ、パドレス、レッドソックスの6チームで、その合計は7849万ドルに達した。

ぜいたく税の算定基準は、基準額をどれぐらい上回ったかと、さらに何年連続上回ったかでそれぞれ3段階定められている。まず初めて上回れば20%、2年連続で30%、3年連続で50%が基本だ。それに基準額を2000万ドル上回った初年度が32%、2年連続で42%、3年連続で62%といった具合である。最高では基準額を3年連続以上6000万ドル上回ると105%に達するのだ。

一方、今回メッツの年俸総額は最高の2億9980万ドルだったが、ぜいたく税の算出基準は前年度を元にするため、税率が低くなり、3077万ドルとドジャースを下回るものとなっている。

ぜいたく税制度は2003年に導入されたが、多額の年俸を支払いながらもうまく管理しているのがレッドソックスで2004年から2007年には4年連続で超えたものの、それ以降では2年連続で超えたのは3回だけだった。一方でライバルで金満のイメージの強いヤンキースは2018年と2021年以外、全ての年でぜいたく税の対象となっている。こんなところにもチーム経営戦略の違いが出てくるのである。

ちなみに集められたぜいたく税はまず350万ドルが元選手の年金に充てられ、残りの半分は選手の利益に、半分は地元収入を増やしたチームに分配されるコミッショナーの基金に充てられるということだ。