MLBが将来殿堂入りが確実視されているアルバート・プホルス氏に新たな任務を与えることとなった。ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーが昨シーズンで22年間にわたる選手生活を終えたばかりのプホルス氏をドミニカ共和国に関する諸問題解決に取り組む特別補佐官に任命したのだ。
ドミニカ出身のプホルス氏は2001年にカージナルスでメジャーデビュー。その年、いきなり37本塁打、打率3割2分9厘を記録し、ナ・リーグ新人賞を受賞した。以降、強打者として活躍し、3度のナ・リーグMVP、2度の本塁打王、オールスター選出11回という栄誉に輝いている。現役最終年を宣言していた昨シーズンも24本塁打を放つなど、惜しまれながらユニホームを脱ぐこととなった。
対して、カリブ海に浮かぶドミニカはMLBのアメリカ以外の国において最大の選手供給源となっている。2023年の開幕ロースターには104人のドミニカ人選手が登録されており、これは2位のベネズエラより68%も多いのだ。これらドミニカ人選手の年俸はパドレスのフアン・ソト外野手の2300万ドルを筆頭に、合計5億ドル以上となる見込みだ。
その一方で、この国はアマチュア選手育成における腐敗の温床となってきた。MLB入りは貧困から抜け出すための切符として若手選手の希望となっている。そこにバスコンと呼ばれるエージェントや組織が入り込み、本来契約できない16歳未満の選手に身分証明書を偽造するといった事案が続出する事態となっているのである。
プホルスはドミニカ人にとってスーパースターであり、MLBは今回、傘下のテレビ局MLBネットワークの解説者としても契約している。問題解決に向けての取り組みのシンボルとしてまさにうってつけの存在だったというわけだ。
マンフレッド・コミッショナーは今回の起用について「彼は、我々のコミュニティーに変化をもたらすことに大きな関心を寄せています。我々はアルバートが、私たちのスポーツのために重要な仕事をしている他の元選手たちに加わることに興奮しています」とコメントしている。
またプホルス氏は「私のキャリアの次の章に、これ以上ないほど興奮しています。マンフレッド・コミッショナーと私は、ドミニカ共和国で野球を発展させるという同じ情熱を共有しており、私たちが一緒に何を成し遂げられるか楽しみです」と語ったということだ。
プホルス氏の存在が長年の問題を解決することに1歩近づく糧となることに期待したい。