【ピオリア(米アリゾナ州)25日(日本時間26日)=四竈衛】今季からマリナーズに移籍した青木宣親外野手(34)が、日本人メジャーの「大トリ」としてキャンプインした。マ軍のリードオフマンとして期待される今オフは、日本で大ブームの「エゴマ油」で食生活を改善し、体脂肪率7%ダウンに成功。良質の筋肉を身にまとい、悲願の世界一を目指す覚悟だ。

 新天地でのキャンプ初日を終えた青木は、表情だけではなく外見もスッキリしていた。「オフはアッという間。それだけ充実したオフを過ごせたと思う。いい気持ちの中で野球ができました」。同学年で親交の深い岩隈とは、ロッカー室でほぼ向かい合わせ。メジャー5年目で初めて日本人と同僚になった心地よさに加え、自らの体調の良さが、笑顔の要因だった。

 今オフのテーマは「体全体を使い、下(半身)から指先まで連動する」だった。ところが昨オフの帰国直後、久しぶりに味わう日本の美食の誘惑に完全にはまった。「昼から平気でご飯3杯」。その結果、あれよあれよの間に6キロ増。さすがに危機感を覚え、本格的なトレーニング再開時には食習慣を見つめ直した。「今まであんまり気にしなかったけど、悪いものばかり食べてました」。

 まずは外食を控え、佐知夫人の手料理に助けを求めた。揚げ物を完全に断ち、塩分は控えめ。「しょうが焼きの脂身も取る」ほど、意識を変えた。さらに、ダイエットや美肌に効果的で、大ブームとなっている「エゴマ油」をフル活用。と同時に、有酸素系トレーニングを増やした結果、わずか1カ月あまりの期間で、体重が戻り、体脂肪率が約7%減少した。今キャンプにも「エゴマ油」のドレッシング3本を持参。「毎朝サラダにかけてます。キャンプ中になくなるでしょう」と、今や欠かせない常備品となった。「自分は走らなきゃいけない選手。柔らかさのある筋肉量を増やす。食事と同じでムダなものを省きたいですね」。

 大リーグ公式サイトには約82キロと記されているが、果たして現在の体重、体脂肪率は? 質問すると、青木は「今は教えられない。もっと皮下脂肪が落ちるはず」と笑顔ではぐらかした。まだ体質改善は進行中というわけだ。

 4月4日の開幕戦-。「1番青木」が、しなやか、かつシャープな活躍をすれば、それらの数値を明かしてくれるのかも…。

 ◆青木の過去4シーズン メジャー1年目の12年はブルワーズで151試合に出場し、打率2割8分8厘、10本塁打、30盗塁で新人王投票5位。翌年には開幕から「1番右翼」で出場。14年にロイヤルズに移籍し、自身初のプレーオフ進出。快進撃を続け、ワールドシリーズ(WS)では惜しくもジャイアンツに3勝4敗で敗れた。昨季はそのジ軍に移籍し、8月まで打率3割を維持するも、死球による骨折や脳振とうの後遺症で93試合の出場に終わった。過去5年間で3度世界一のジ軍はプレーオフ進出を逃し、くしくも前年所属したロ軍がWSを制した。

 ◆エゴマ油 エゴマはしそ科の植物で、種子から採れるのがエゴマ油。体内では作りだせないα-リノレン酸を多く含んでいるため血液サラサラ効果があり、コレステロールや中性脂肪の低下、高血圧症や動脈硬化の予防、アレルギーの症状の緩和にも効果があるといわれる。また代謝をアップさせるためダイエット効果も発揮し、血液の循環を良くするためくすみ、シワを防止する美肌効果もあると話題になっている。毎日スプーン1杯を摂取するだけで健康と美容に役立つとされており、今大注目されている。

 ◆球界の珍ダイエット 通算567本塁打の門田博光(元ダイエー)は88年オフから期限を1週間と区切り、毎日ゆで卵7~9個、グレープフルーツ、野菜だけしか口にしない「デンマーク式ダイエット」で週に6キロ減量した。川尻哲郎(阪神)は99年1月、昼食を小麦粉の少ないたこ焼き10個にして、10日間で1・5キロ減。松井秀喜は巨人時代、2リットル1万円の高価なアロエジュースで年間7、8キロ落とした。前楽天監督の大久保博元は現役時代、のどが渇いたら水を飲みすぎないように氷をなめた。