＜イチローを支えた人々＞

イチローの父鈴木宣之さん

　記録に追いついた安打は冷静に見られたが、追い越した二塁打を放ったときはぐっとうれしさがこみ上げ、自然と涙が浮かんだ。１９９４年に（日本で当時、シーズン最多安打の）２００本目を達成したときもライトへの二塁打で、そのシーンが重なった。これまでに大変な道のりがあった。息子は諦めずに前に突き進んでいる。よくここまで来たなという気持ちだが「野球は極められていない。もっと頑張れ」と言いたい

久保田五十一さんの話（プロ入り当初からイチローのバット製作を手掛けたミズノテクニクスの元担当者）

　初めて会った１９９２年秋、バットに対して熱く語られる姿がまだ脳裏に焼き付いています。このような大記録に携われたことを幸せに思います

名和民夫さんの話（ミズノテクニクスのバット製作の現担当者）

　イチロー選手のバットを作らせていただいて約７年になります。そのバットで大記録を達成していただき、感謝申し上げます。これからも期待に沿うバットを作り続けていきます

愛工大名電時代の監督、中村豪さん

　強い星の下に生まれたのだろう。一緒に野球ができた３年間が誇りです

＜ＮＰＢ界＞

ソフトバンク王貞治球団会長

　これまで数多くのヒットを積み重ね、４２歳にして今なお、さらなる高みを目指し突き進むイチロー君の姿は、私を含め世界の野球ファンを魅了するものであり、その闘志あふれるプレーは称賛に値します。これからも、より一層の活躍を期待するとともに、１本でも多くヒットを増やしてほしいですね

オリックス宮内義彦オーナー

　前人未到の偉業達成に心よりお祝いを申し上げます。オリックス出身のイチロー選手がこのような大記録を達成されたことを大変うれしく、誇りに思います。努力家の彼ですから、これからもさらに輝かしい足跡を残してくれるものと楽しみにしております

日本プロ野球通算最多３０８５安打の張本勲氏

　日本球界は鼻高々ですよ。こんな選手は向こう１００年出て来ないでしょう。どのコースにもバットが真っすぐ出ていく。動体視力がすごい。スーパースターと呼ばれる人に豪快な人はいない。繊細なんですよ。だから自己管理が徹底できる。大あっぱれですよ

ソフトバンク工藤監督

　日本にいる時から、野球にかける時間や自分のルーティンに関して、人にはないものを築き上げてきた。その結果がこれだけの数字になる。（現役時代に）対戦した時は、正直言って、すごいなと思っていた。すべてのボールに対応できる。そんな選手はそういない。日本でやってきたことがアメリカでも通用した。選手だけでなく、多くの人の夢や希望になった。日本人としては、世界記録と認知してほしいな

広島黒田博樹投手

　僕なんかとは次元が違う。簡単にコメントすると、イチローさんの記録が軽くなってしまう。コメントというよりも、素直におめでとうございますということですね。（ヤンキース時代）同じチームメートとして僕自身、勉強することがたくさんあった。メジャーでもう１度、自分自身を奮い立たせてくれた。そういう存在です

ロッテ井口資仁内野手

　（０５年から４年間大リーグでプレー）これだけ長くできて、走れているし、試合に出続けているのがすごい。イチローさんにしかできない記録。僕より年上ですから、自分もまだまだという気持ちになる

阪神藤川球児投手

　（２００６年と０９年のＷＢＣでチームメート）日本で歴史上一番のスーパースター。すごいとしか言いようがない。メンタルから、全てを含めて超一流以上。会って話したことがあるのを誇りに思う

ロッテ元投手の小林至江戸川大教授（スポーツ経済学）

　野手は４０歳を過ぎれば反応が衰えて活躍するのは難しくなるのに、大記録を達成したのはすごいの一言だ。入念な準備と工夫を重ねてきたのだろう。日米合算の記録ということで、米国ではそれほど大きく評価されなくても、「大リーグこそ世界一」という彼らの思いを尊重した上で、日本人としての論理で喜べばいい。メジャーの現役最年長野手だが、このまま来年以降も活躍してくれることを期待してしまう