今年の野球界もいろいろなドラマがあった。日刊スポーツの野球担当記者の印象に残った「言葉」を紹介する、年末恒例企画の「言葉の力」。喜び、悲しみ、怒り…、勝負師たちの本音が凝縮した数々の言葉から、2018年を振り返る。今回は「MLB日本人プレーヤー編」です。

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▽マリナーズ・イチロー「僕自身としては泰然とした状態であったと思います。泰然という状態は、プレーヤーとしても人間としても、常にそうでありたいという状態、目指すべき状態ではあったので、そういう自分に出会えたことはとてもうれしかったです」(3月7日、マ軍への移籍会見で、オフ期間、契約を待つ心境を聞かれて。動じないことの難しさを、再認識させてくれるひと言だった=四竈衛)

 

▽エンゼルス大谷「一塁までしっかり走ること。初歩的なことですけど、大事なことだと思う」(3月29日のメジャー開幕戦後、父から教わったことを問われて。シーズンを通して全力疾走する姿に、幼少期からの親子の絆を感じた=斎藤庸裕)

 

▽エンゼルス大谷「どう始まるかよりは、どう終わるかが大事」(5月1日、今年、殿堂入りした元エンゼルスのウラディ-ミル・ゲレロ氏と選手と同じ言葉。その通りに、メジャー1年目で新人王を獲得して有終の美を飾った=斎藤庸裕)

 

▽マリナーズ・イチロー「僕は、野球の研究者でいたいというか、今44歳でアスリートとして、この先、どうなっていくのか、というのを見てみたい」(5月3日、選手登録を外れ、会長付特別補佐となって。現役へのこだわりを、研究者になぞらえたセンスは別格=四竈衛)

 

▽エンゼルス大谷「事が進んでいる中での停滞。目先の(ヒット)1本、欲しくなるところですけど、長期的に見るのもすごく大事」(7月31日、後半戦開始からの約10日間で打率1割7分5厘。ケガ以外では順調だった大谷だが、珍しく悩み、葛藤する感情がにじみ出ていた=斎藤庸裕)

 

▽ヤンキース田中「まあ、年を取っているということです。18歳でデビューして、その頃と比べたら全然違うと思います」(9月1日、米デビュー以来、5年連続2桁勝利の10勝目を挙げて。その時点で29歳。円熟味あふれる投球を、笑顔で自己分析=四竈衛)