マリナーズと正式契約を結んだ菊池雄星投手(27)が6日、成田空港着の航空機で帰国した。最速オファーを受けたマリナーズ入りを決断し、約3週間の米国滞在から戻った。明日8日からは沖縄での自主トレ再開を明言。昨オフよりも1カ月前倒しして、すでにメジャー球でのキャッチボールを開始しており、デビューに向けて調整を本格化させる。

長旅の疲れよりも、スタートラインに立てた実感が大きかった。菊池は、シアトルでの英語ペラペラ会見とは対照的に言葉を選び、かみしめながら語った。「うれしさと責任と、いろんな思いがある。(マリナーズが)自分のことを一番必要としてくれると感じた。最初にオファーをくれたのもマリナーズだった」と、最速オファーであったことを決断の理由の1つに挙げ、次に目を向けた。

2月中旬のキャンプインを見据え、1歩ずつ仕上げていく。すでにメジャー公式球を使い12月上旬からキャッチボールを開始。「1月だった去年よりも1カ月前倒し。去年はそこからペースを上げざるを得なくなって、故障につながった。今年は1カ月早めて徐々に上げていく」。昨年5月に左肩の張りで戦線離脱した苦い記憶がある。同じ轍(てつ)を踏まないために早めた。明日8日からは、沖縄で自主トレをスタートさせる。

まだ手探りの中、道しるべとなる生きた教材がマリナーズにはいる。イチローとの対面こそ明かさなかったが「学ぶことしかないと思う。一緒の場にいて、練習しながら学ぶことがたくさんある。トレーニング、考え方、食事、いろんなことを聞きたい」。これ以上ないお手本であるレジェンドから貪欲に吸収していく。「ここが終わりではなくスタート。まだ始まってもいない。ゼロからのスタート」。まるでルーキーのような初心で、日本に戻ってきた。【栗田成芳】