【ピオリア(米アリゾナ州)18日(日本時間19日)=四竈衛】マリナーズのイチロー外野手(45)と菊池雄星投手(27)が、初めて同じグラウンドで「競演」した。前日までは、互いに別グラウンドで練習したため、接点はなかった。だが、全体キャンプ3日目に内外野の中継プレーの練習で、菊池がマウンドに立ち、イチローが中堅の守備位置に就き実現した。

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菊池の視線は、少年ファンのようにイチローにくぎ付けだった。「うれしいとかもあるんですけど、幸せというのが一番ですね」。少年時代から憧れ続け、「イチロー本」やインタビュー動画などは、ほぼすべてを網羅するほどだった。そこまで憧れ続けた存在が、同じグラウンドで同じボールを追いかけていた。外野フェンス際まで転がった打球を素早く処理し、内野へ返球する姿は、紛れもなく「生イチロー」だった。「イチローさんのボールの回転がきれいすぎて、全部カットマンの胸に来ていた。やっぱりすごいなと、感動しながら見てました」。

昨オフ、マ軍からオファーを受け、交渉が順調に進むにつれ、イチローと同じグラウンドに立つ瞬間が頭をよぎるようになった。「いつかこういう日がくればいいなとシアトルに決まってから思ってましたけど、まだ練習ではあるんですけれども、イチローさんと一緒に練習ができたというのは特別なことだと思ってます」。

19日(同20日)には「ライブBP」と呼ばれる実戦形式の打撃練習に登板する予定が組まれた。イチローが打席に立つ可能性もある。「世界一の打者ですから、そのイチローさんに、もし(打席に)立っていただけるのならすごく光栄なことですし、夢のようなことだと思っています」。対戦が実現すれば、菊池にとって最良の思い出としてだけでなく、最高の勉強の場となることは間違いない。