【グッドイヤー(米アリゾナ州)7日(日本時間8日)=四竈衛】イチローさん、ありがとうございます-。マリナーズのイチロー外野手(45)と菊池雄星投手(27)が、レッズ戦で再び共演した。6番左翼でスタメン出場したイチローは2打数無安打1四球、3試合目の先発となった菊池は4回5安打2失点。イチローの好守に、菊池が感謝する光景も見られた。

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イチローと菊池の2度目の共演は守備でシンクロした。3回2死二塁、ジェネットの打球が左翼最深部を襲った。抜ければ失点の長打コース。だが、振り向いた菊池の視線の先で打球を追っていたのは、背番号51だった。「抜けたかなと思いましたけど、レフトはイチローさんだったと。上がった瞬間に、ああ大丈夫だ、レフトはイチローさんだと。必ず捕ってもらえると思って待ってました」。

後輩の期待に名手が応えないわけがない。背走したイチローは体を伸ばして捕球。そのままネット状のフェンスに体をぶつけた。敵地ながらスタンドから喝采が起こる好捕だった。

イチローにすれば、実は厄介な打球だった。昨年5月からの長いブランクがある上に、今オープン戦初のナイター。加えてキャンプ地の球場はシーズンと比べ照明設備が不十分。「暗いです」「大変っス」とこぼすほどだった。

そんな背景もあり、クラブハウス内でイチローが菊池を呼び止めた。

イチロー 雄星、打たすなよ、あんなとこ。お前、しばくぞ!

もちろん、優しい大先輩がしばくはずがない。後輩も笑顔で切り返した。

菊池 ナイスキャッチです

菊池は好捕したイチローをベンチ前で出迎えた。通常ならグラブタッチだが、恐縮する左腕は「やっぱり皮膚で…」と、利き腕の左手を差し出し、先輩のグラブとタッチした。18歳差の2人の共演は、今後もほのぼのストーリーを生み出してくれそうだ。

 

◆菊池雄星は感謝の直タッチ レッズ戦は無安打も、イチローにとって意義深い1日だった。この日はナイター前に、午後1時からマ軍キャンプ施設で行われた特別ルールの紅白戦に出場。守備には就かず、不規則に打席に立つ形式で9打席に立ち、7打数2安打2四球4三振だった。安打はシェフィールド、ミローンのメジャー左腕からで鋭いライナーで右前へ運んだ。 変則のダブルヘッダーを「長かったですね」と振り返った一方で、手応えもある。計12打席で52球を体感。この時期はチェック項目を1つずつクリアすることがテーマになる。打撃の現状を「真っすぐ待ちの変化球じゃなくて、変化球待ちの真っすぐ対応というところに入って行く段階ですね」と淡々と話した。