数々の金字塔を打ち立てた日本最高の安打製造機が、ユニホームを脱ぐ。日米通算4367安打(日本1278、米国3089)のマリナーズ・イチロー外野手(45)が21日、アスレチックスとの開幕第2戦(東京ドーム)後、引退を発表した。

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-今日の試合で1年目の開幕は思い出したか

ないですね。

-プロで成功したことは

成功かどうかはよく分からないですよね。全く僕には判断ができない。だから僕は成功という言葉が嫌いなんですけど。メジャーリーグに挑戦するということは大変な勇気だと思うんですけど、あえて成功と表現しますけど、成功すると思うからやってみたい、それができないと思うから行かないという判断基準では後悔を生む。やってみたいなら挑戦すればいい。その時にどんな結果が出ようとも後悔はでない。基本的にはやりたいと思ったことに向かっていった方がいいですよね。

-得たモノは

ま、こんなものかなぁという感覚ですよね。200本もっと打ちたかったですし、できると思ったし。1年目、2年目と勝って、勝つのってそんなに難しい事じゃないと思っていたんですけど、勝つのって大変です。この感覚を得たのは大きいですね。

-神戸に恩返しはあるか

神戸は特別な町です。僕にとって。恩返しか…何をすることなんですかね。僕は選手を続けることでしかできないと思っていて、できるだけ現役を続けていたんですよね。神戸に恩返し…税金を少しでも払えるように頑張ります。

-日本で育成される重要性はあるか

制度は詳しくないんですけど、日本で基礎を作る、自分が将来MLBでプレーする礎を作るという考えはできるだけ早くというのは分かりますけど、日本の野球で鍛えられるというのはあるんですよね。メジャーリーガーよりも基本的な基礎の動きって、日本だと中学生レベルの方がうまい可能性はありますよ。チームとしての連係は日本で言わなくてもできますからね。アメリカでは個人としてのポテンシャルは高いですけど、そこは苦しんであきらめましたよ。

-大谷と対戦したかったか

世界一の選手にならないといけない選手ですよ。僕はピッチャーで翔平がバッターで対戦したかったです。

-どのように大谷に成長してほしいか

そこは誤解の無いように。そこは占い師に聞いてもらわないと。投げることも打つこともやるのであれば、ワンシーズンごとに、サイヤングとホームラン王とったら。そんなこと考えられないですよ。でも翔平は想像させるじゃないですか。だから人とは違うじゃないですか、翔平は。ピッチャーとして20勝するシーズンがあって、翌年にはMVPを取ると想像したら化け物ですよね。

-野球選手でなくなる自分を想像すると

先ほども言いましたけど、違う野球選手になっていると思います。楽しくやっていると思うんですけど、真剣に草野球を極める選手になると思うんですよね。

おなか減ってきた、もう(笑い)。1時間20分? 今日はとことんお付き合いしようと思ったんですけどね。おなか減って来ちゃった。

-小学校の卒業文集が有名。小学生の自分に今、声をかけるなら

お前、契約金1億ももらえないよって。夢は大きくとは言いますけど、ドラ1の1億って掲げてますけど、遠く及ばないですよ。ある意味で挫折ですよ。こんな終わりでいいのかな。何かきゅっとしたいよね。最後は。

-孤独感はずっと感じてプレーしていたか

現在それは全くないです。それとは違うかも知れないんですけど、アメリカに来て、メジャーリーグに来て、外国人になったこと。アメリカでは僕は外国人ですから。このことは外国人になったことで人の心をおもんぱかったり、痛みが分かったり、今までなかった自分が現れたんですよね。体験しないと、自分の中からは生まれないので、孤独を感じて苦しんだことは多々ありました。その体験は未来の自分にとって大きな支えになるんだよと今は思います。だから、つらいことしんどいことから逃げ出したいと思うことは当然だと思うんですけど、元気な時、エネルギーーのある時にそれに向かっていくのは大事なことだと思います。いやぁ、締まったね最後。眠いでしょ、みなさんも。じゃあそろそろ帰りますか。(午前1時20分終了。深々と一礼して退席)