ヤンキース田中将大投手(30)が今季最短の4回0/3を被安打7、5失点で今季初黒星を喫した。3回終了時点の6奪三振、無失点投球から中盤に暗転。「二回り目はゾーン外のボールはしっかり我慢してゾーン内のボールを打ちに来る、ということを我慢強くやられた。それでこっちが苦しくなったところで痛打された。相手を上回ることができなかったのがすべて」と悔しさをにじませた。

開幕から3試合で計2四球だった制球マシンがこの日だけで3四球。決してボールが暴れたわけではない。1回はすべてショートバウンドさせたスライダーでいきなり3奪三振。ただ、打者が2巡目に入ると、ストライクからボールゾーンに沈ませたスライダー、スプリットで空振りを奪えなくなった。

2点リードの4回は1死二塁から2者連続四球。ボールになった8球はすべて、序盤は振ってくれていたストライクからボールゾーンへ逃げる変化球だった。「決して我慢強い打者がズラッと並んでいる打線ではなかった。投げるボールのキレもそうだし、相手の予測しやすいところに投げてしまっていたのかなと思います」。徐々に配球が窮屈になり、1死満塁から「全然良くなかった」というスプリットが浮いた。6番アンダーソンに右中間へ逆転満塁弾を献上。思わず天を仰いだ。

この日最速93マイル(約149・7キロ)の直球が「良くなかった」とはいえ、変化球主体で外角低めを攻め続けた序盤の快投のツケを中盤に払わされた形となった。試合後、田中は「(相手打者は)待ちやすい、見切りやすかったんじゃないですかね」と反省した。

正捕手サンチェスが12日に負傷者リスト入り。今季初めてヒガシオカと組んだ一戦は、3戦連続で自責点1だった安定感が鳴りを潜めた。それでも「それ(捕手の変更)は関係ない」と語気を強めて女房役をかばった。修正中だというスプリットの精度を高め、配球も見直し、次回登板に向かう。(ニューヨーク=佐井陽介)