【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)31日(日本時間6月1日)=四竈衛】マエケン、またしても快投-。ドジャース前田健太投手(31)がフィリーズ戦に先発し、6回3安打2失点と好投。スライダーを巧みに操る高度な投球術で、今季7勝目(2敗)を挙げた。

最多勝争いでも、同僚の柳振賢投手(32)にあと1と迫る2位タイとなった。

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相手が狙っている球種で仕留める。前田が投球の極意のような、ハイレベルの88球を披露した。3回までは5三振を奪うなどパーフェクト。東地区首位のフ軍打線の機先を制し、主導権を握った。「自信になる内容だったと思います」。

極意の軸は、宝刀スライダーだった。米移籍後、チェンジアップの精度がアップした一方、広島時代から「スライダーの魔術師」として知られていた。データ偏重の時代。相手のスライダー狙いに、あえて同球種で勝負を挑んだ。「狙われてる中でもうまくそれを利用したい。裏をかいて打たれるよりも、狙われた中でうまく使った方がいい」。横に滑る基本形に加え、縦滑りのアレンジ形、さらに一度浮き上がるような独自形と3種類のスライダーを両サイドへ投げ分けた。

4回、マカチェンに対し、サインに首を振って投げたスライダーを本塁打されたのが唯一の失投。ただ、納得ずくの勝負に悔いはなかった。実際、そのマカッチェンとの第3打席は、再びスライダー勝負。相手の意識が高い外角ではなく、内角へ投げ込み、遊飛に仕留めた。「ミスしなければ大丈夫。あれも『あり』なんじゃないですかね」。相手の打ち気を察知し、微妙な間合いと異なる軌道でバットの芯を外した。

左太もも打撲で10日間の負傷者リスト(IL)入りを挟みながらの自身4連勝。開幕以来2カ月で7つの白星を重ねた。「1年間トータルで成績を残すことが大事。満足せずに、安定して結果を残せるように努力したいと思います」。日米通算12年目。データを逆手に取るほど、前田の投球が円熟味を増してきた。

▽ドジャースのゲレン・ベンチコーチ(ロバーツ監督が長男の高校の卒業式に出席するため休養。監督代行として指揮。前田の投球について)「とてもいい登板だった。特にスライダーがすばらしかった」