エンゼルス大谷翔平投手(24)のサイクル安打達成には、予兆があった。3回の第2打席、左中間を真っ二つに破る二塁打がそれだ。

大谷が基本とする打撃は「二塁打を打つ」こと。5月7日以降、この試合前までで二塁打は1本。それも中堅方向へのゴロで右翼手が捕球する間に快足を飛ばして二塁を陥れたものだった。

6月に入ってから本塁打は5本とペースが上がってきたが、これだけが調子のバロメーターではなかった。大谷は「打ち損じた時にも間を抜ける二塁打になってくれるくらいの(ボールの)捉え方っていうのは、もう少し上がる余地はある」と話していた。サイクル安打を達成した今試合で打った二塁打は、左中間へと抜ける理想に近い形であり、絶好調の状態にある証しだったといえる。

二塁打の打球が出れば、俊足の大谷は三塁打も出やすくなる。実際、第3打席ではライナーで一塁手の頭上を越え、右翼線へとゴロが転がる“二塁打の延長”のような打球で楽々、三塁打をマーク。安打の中では最も出やすい単打を残し、達成する確率の高い中で偉業を成し遂げた。

今は本塁打を打ち、二塁打も打てる状態。実現の期待が高まる中でサイクル安打を達成した。【MLB担当=斎藤庸裕】