【シカゴ(米イリノイ州)7日(日本時間8日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(25)が、17号3ランを含む5打数3安打で、メジャー自己最多の1試合5打点をマークした。

今季初の「4番DH」で出場したホワイトソックス戦の3回、外角高めのボール球を左翼スタンドへ運ぶ、飛距離約123メートルの豪快な一撃を放った。8月18日以来、58打席ぶりの1発は、スイング前から予感できた“予知弾”。再び波に乗ってきた。

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ハンドパワーばりに感じるものがあった。大谷は「シーズンの中でもいい感じのホームランだったと思う」と言葉のトーンを上げ、強調した。基準は左翼へ放り込んだ打球方向でもなければ、飛距離でもない。「打ち心地」と表現した。さらに続けた。

「打った瞬間もそうですけど、なんとなく振る前から『いくんじゃないかな』という感じがあるかどうか」

ホームランになりそうな予感…打席の中でよぎった予知弾。ホ軍先発コービーのツーシームはその雰囲気に引き寄せられた? のか、内角狙いが外角高めへ抜けた。失投を鋭いスイングで仕留め「久しぶりだなという感じはした」。58打席ぶりの1発は、今季放った17本で最もストライクゾーンから遠く離れたボール球だった。

悪球など大した問題ではなかった。打席での空気感こそ、求めていたものだった。打者復帰直前の4月下旬。「立っている時点で、ほとんど勝負は決まっている。打てるなという感覚を持っていけるかが、一番大事」と独自の思考を明かした。目には見えない感覚を、試合前から徹底的に研ぎ澄ませていた。

フリー打撃の32スイングで15本の柵越え。うち中堅から左方向が14本だった。全く同じように試合で左翼へのアーチを再現した。「(以前は)練習と試合のギャップはあったかなと思う。その差は縮まってきている」と言った。2本の長打を放った前日からバットの素材も変えた。しなり重視のアオダモから、より硬さのあるメープルのバットで連日のマルチ安打。感性に技術と工夫をアレンジし、最高の結果につなげた。

投直に倒れた第4打席も、低めのチェンジアップを芯で強く捉えた。「必ずあるアウトの中で、どういう形で打ち取られるかが大事」と凡打にも満足感を得た。8月下旬から続いたトンネルを抜け出し、メジャー自己最多の1試合5打点をマーク。「ちょっとずつ良くなっていると思いますし、そう信じたい」。大谷パワーの源でもある自信も、再び備わってきた。

▽エンゼルス・オースマス監督(今季初の4番で起用した大谷に)「ここ数日でつかみ始めている。少し苦しんでいたが、修正して効果が表れてきているようだ」