レッズと正式契約を交わした秋山翔吾外野手(31)の地元となるシンシナティが、早くも歓迎ムードに包まれた。入団会見前日の7日(日本時間8日)、本拠地グレートアメリカンボールパーク内の大型ビジョンには、ユニホーム姿の写真のほか、日本語で「秋山翔吾選手、シンシナティへようこそ」と書かれたメッセージが映し出された。

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期待にはちゃんと応えてあげたい。心優しきヒットマン秋山にとって、それは誰に対しても同じだ。シーズン終了後、つかの間の休みに家族でショッピングモールへ向かった。ふと立ち寄ったお店で、近づいてくる外国人女性。「なんか体形が旦那さんに似ていたみたいで。これとこれをはいてくれって言われて…」。黒と紺色のジーンズを手渡された。

言われるがまま試着室ではく秋山。その姿を吟味する女性客に「どっちがいいと思う」と聞かれ、紺色を指さすと首をかしげられた。「こんなところでも服のセンスをいじられるなんて…」。ひそかに傷ついた秋山を気にするそぶりもないまま、棚に戻された2本のズボン。今度は自ら手にとり、レジへ向かった。「自分で買いましたよ。2本とも」。思わぬ形で買うことになった2本のジーパン。今、大事にはいている。

そんなすべらない話を、町中でひとしきり話し終えたとき、通りがかりの中年女性に話しかけられた。道を尋ねられ丁寧に答えると、見送った女性の背中を見ながらひと言。「僕って昔から、なぜかすぐに知らない人に話しかけられるんですよね」。エピソード通りの光景を目の当たりにして、納得。そういう星のもとに秋山は生まれたのだろう。それは海を越えてもきっと変わらない。メジャーに行っても、誰からも親しまれる身近なスターになるに違いない。【栗田成芳】