全米野球記者協会(BBWAA)の投票による米国野球殿堂入りメンバーが21日(日本時間22日)発表され、元ヤンキースの主将で名遊撃手のデレク・ジーター氏(45)が、有資格1年目で殿堂入りした。投票では全397票のうち、396票を獲得。得票率99・7%で、わずか1票足らず満票を逃した。

   ◇   ◇   ◇

ジーター氏とは、ヤンキースに所属した日本人選手の取材を通してその人となりに触れる機会が多かった。松井秀喜氏(03~09年)とも、イチロー氏(12年途中~14年)ともそれぞれ友情を育んでいたが、今思い返すと、ジーター氏の人柄を一番感じ取れたのは、伊良部秀輝氏を通してだったかもしれない。

97年にヤンキースに入団した伊良部氏は、日本のノーラン・ライアンと呼ばれるほど期待され、注目された。しかし結果を出せず、地元ファンやメディアから「過大評価」「太りすぎ」などと度々批判された。

そんな状況下で、言葉の壁もあって孤立しがちだった伊良部氏を、親しみを込めて「ブーブー」のあだ名で呼び、何かと声をかけていたのが、ジーター氏だった。

11年に伊良部氏が亡くなった際にはショックを受け「一緒にいて楽しい相手だった。英語はあまり話さなかったが、周りが思っている以上に言葉を理解していた」としのんだ。コミュニケーションを取り、相手を十分に理解していなければ出てこない言葉。メジャー史上屈指のスターにして、気遣いの行き届いたキャプテンだった。【水次祥子】