マエケンの5年目はツインズ-。週明けにキャンプインを控えるメジャー球界で4日(日本時間5日)、複数球団が絡む大型トレードが成立した。

複数の米メディアによると、ドジャース前田健太投手(31)がツインズへ移籍するのをはじめ、レッドソックスのムーキー・ベッツ外野手(27)、デービッド・プライス投手(34)がド軍へ、ド軍アレックス・バードゥーゴ外野手(23)とツ軍ブラスダー・グラテオル投手(21)がレ軍へ移籍することなどが明らかになった。この超大型トレードの背景には、複雑に絡み合った、3球団のもくろみがあった。

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【大型トレードの発端】

今オフ、水面下で激しく動いていた大型トレードが、キャンプイン目前にようやく決着した。発端は、チーム再生を画策するレッドソックスが主軸放出を各球団に持ちかけたことだった。18年に世界一になったとはいえ、レ軍は昨季途中にドンブロスキー編成本部長が突然退任。さらに、このオフはコーラ監督をアストロズ時代にサイン盗みに深く関わったとして解任した。若きブルーム編成本部長の新体制では、高年俸選手の放出を含め、大幅な年俸削減と抜本的な改革を推進してきた。

【各球団の思惑】

◆レッドソックス 現時点で次期監督が未定でもあり、今季中の勝利よりも近い将来を見据えた解体、新生が最優先。昨年は、球団史上最高額の1340万ドル(約14億7000万円)のぜいたく税を科されており、今季年俸が約30億円で今オフにFAとなるベッツだけでなく、ベテランのプライスをセットにして放出する大幅な年俸削減を進めたい狙いがあった。一方で、若い有望株を育成して再出発する方針のもと、強打のバードゥーゴ、怪腕グラテオルを交換要員として要求した。

◆ドジャース レ軍のベッツ移籍先の最右翼に挙げられ、早い時期から積極的に動いていたのが、ド軍だった。昨季まで地区7連覇を遂げる一方で、17~18年は2年連続でワールドシリーズに進出しながら敗退。このオフは、大物右腕コール(現ヤンキース)、強打のレンドン(現エンゼルス)ら大物FAの獲得に失敗したこともあり、18年MVPのベッツをターゲットに絞り、交渉を進めてきた。ただ先発投手陣はカーショー、ビューラーをはじめ豊富なため、3年9600万ドル(約105億円)の高額契約を残すプライス獲得は敬遠するものとみられていた。その中で先発枠から前田を放出することで折り合いをつけた。

◆ツインズ 昨季は、メジャー史上最多を更新する307本塁打、メジャー2位のチーム打率2割7分と屈指の攻撃力を看板に9年ぶりに地区優勝を遂げた。さらに、昨シーズン37本塁打のドナルドソンをFAで獲得。課題は投手力の底上げだった。若手の有望株グラテオルを放出し、経験豊富な前田どりに動いたのも、ポストシーズン(PS)を勝ち抜くためだった。ここ数年、公式戦終盤からPSにかけて救援に配置転換されてきた前田にとっても、先発に専念できる環境はプラス。ツ軍の本気度十分の補強方針が、三角トレードを実現させた。

レ軍の大胆な改革を機に、豊富な資金力をバックに世界一奪回を目指すド軍、着々と戦力強化を試みるツ軍と、各3球団のもくろみが絡み合った末、近年まれに見る超大型トレードが成立した。【四竈衛】

◆過去の大物トレード 「ブロックバスター」と呼ばれる大トレードは、夏と比べてオフシーズンは少ないものの、18年オフにはメッツがカノ内野手と守護神ディアスをマリナーズから獲得するなど計7人を巻き込む大トレードがあった。04年オフにはヤンキースがロドリゲス内野手をレンジャーズからソリアーノ内野手との交換で、98年オフにはヤンキースがクレメンス投手をブルージェイズから3選手との交換で獲得した。夏のトレードでは12年イチロー(マリナーズ→ヤンキース)17年ダルビッシュ(レンジャーズ→ドジャース)同年バーランダー(タイガース→アストロズ)ら多くの大物が移籍している。