【ポートシャーロット(米フロリダ州)23日(日本時間24日)=四竈衛】レイズ筒香嘉智外野手(28)が、満点デビューを飾った。

米国初実戦となるヤンキースとのオープン戦に5番左翼で先発出場。第1打席に投手強襲の中前打、第2打席に四球を選び「出塁率男」の実力を、いきなり見せつけた。日本人打者の1年目オープン戦初打席安打は05年中村(ドジャース)以来15年ぶり。2戦目の24日(同25日)レッドソックス戦は、DHで出場する予定だ。

    ◇    ◇    ◇

2打席で1安打1四球、出塁率10割。成績だけ見れば満点デビューでも、試合後「点数は分からないです」と振り返るのが、筒香らしかった。2回無死一塁で迎えた米国初打席。カウント2-1から、通算13勝の救援右腕ヘールの93マイル(約150キロ、スカウト計測)外角速球をはじき返した。ワンバウンドの打球は、投手のグラブをはじいてセンター前へ達する強襲安打となった。

感慨はなかった。「そんなに感情はないです」。本来であれば、一、二塁間を抜いて無死一、三塁を作るのが理想だった。引っ張りきれず、もし好捕されれば併殺に仕留められただけに、納得できなかった。「本当はゴロになっちゃいけない球。そっち(一、二塁間)にイメージあるんですけど、全然思っているところと違うところに飛んでます」と振り返った。

一方で、4回無死走者なしで迎えた第2打席の内容には好感触が残った。相手は、24歳の快速右腕ネルソン。カウント2-2から143キロのシンカー、156キロの速球などをファウルでしのぎ、8球目で四球を選んだ。「2ストライク後のファウルを打つには技術を使う部分があるので、それができたという点では良かったです」。変化球を頭に入れながら、速球に対応する高い技術。「イメージした通りにできたという感じです」。日本人投手とはタイミングも球筋も異なる投手を相手に、公式戦さながらの対応ができたことが、自己評価につながった。

15年オフ、ドミニカ共和国でのウインターリーグを体験して以来、メジャーを明確な目標として掲げ、時間をかけて丹念に打法改良を続けてきた。日本で規定打席到達は7回あるが、打率の10傑入りが2回に対し、出塁率は5回。四球出塁をいとわず、丁寧な打席を積み重ねてきた。バット、グラブなどの用具をはじめ、考え得る限りの準備を進めてきた。「まだスタートという感じはないですけど、ここまでは順調に来ているかなと思います」。少しずつ日焼けし始めた表情に、充実感がにじんだ。