【ポートシャーロット(米フロリダ州)27日(日本時間28日)=四竈衛】レイズ筒香嘉智外野手(28)がタイガース戦に「3番DH」でスタメン出場し、3打数2安打2打点と、オープン戦4試合目で初のマルチ安打をマークした。初回に積極打法で先制適時打を放つと、5回2死一塁では追い込まれながらもしぶとく左翼線へ。ここまで7打数4安打、打率5割7分1厘と快調なペースで結果を残している。

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実戦感覚が着実に戻ってきた証拠だった。5回2死一塁の第3打席。左腕アレクサンダーに対し、カウント2-2と追い込まれた後の5球目。筒香は複数パターンの球をイメージしていた。3球目に空振りした内角速球、変化球、外角速球…。内角球を意識しながらも、重心を少しつま先寄りにかけ、変化球のタイミングでバットのヘッドをやや遅れ気味に出して144キロの外角速球を左翼線ギリギリへ運んだ。

少しでもこすれば、スライスがかかってファウルになるコース。「練習で意識的にやっていることを試合で無意識に行えることが、僕は一番大事だと思っています」。DeNA時代からメジャーへの対応を心掛けてきた筒香にとって、無意識へ近づけた一打は、言葉に出さずとも手応えを感じられる瞬間だった。

1回1死二塁で迎えた第1打席も、公式戦さながらだった。タ軍先発は、13年に最多勝(19勝)を獲得し、通算93勝の右腕ジマーマン。初対戦ながら、初球から内角高めの速球を引っ張った。「いい準備ができていたと思います」。一塁手のミットをはじく、先制タイムリー。最低でも進塁打の場面での積極打法で、より良い結果につなげた。

連日の活躍へのご褒美ではないものの、28日(同29日)は首脳陣から完全休養日を与えられた。VIP待遇ではなく「働き方改革」にも近い(?)半ば強制的な休養指令。長いシーズンを見込んだ首脳陣の配慮だった。「日本で明日、球場に来るな、と言われることは絶対にないですから(笑い)。(同地に)友達がいるわけでもないので、しっかり体のケアをしたいと思います」。29日(同3月1日)のブレーブス戦には、三塁で出場する予定。新人とはいえ、周囲の期待と視線は紛れもない主力。好結果だけでなく、筒香の足取りが、日ごとに力強さを増してきた。