地味の自負がある。マリナーズ平野佳寿投手(36)が、独自の生き方と覚悟を語った。

昨年まで2年間在籍したダイヤモンドバックスでは中継ぎとして活躍。黙々とやるべき仕事に徹し、新天地のマ軍では守護神候補として期待される。来るメジャー開幕へ、現在はアリゾナ州で自主トレ中。日米通算1094投球回の鉄腕が、電話インタビューで思いを明かした。

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メジャーでの2シーズンを振り返る中で特に弾んだ話題があった。昨年5月17日のジャイアンツ戦、1点リードの6回1死満塁、平野は2番手で起用された。同点となれば、先発の勝ちが消える。「今思えば、よう投げたなって。投げ切れたら空振りしてくれる、でもやっぱり怖い」。自信とともに、恐怖心があった。

相手はメジャー9年目の左打者クロフォードで、カウント2-2。3ボールにはしたくない状況だったが、高めで空振りを狙った直球が外角へ外れた。続く6球目、サインはフォーク。押し出しが頭によぎる中、低めからベース板にストンと落とした。空振り三振。ベストボールだった。

後続を右飛に抑え無失点でしのいだ。自信を持って投げていたように見えたが、実は「(心臓)バクバクしながら投げましたよ。『おー何とか、いけたな』って」と、あっけらかんと振り返る。そのずぶとさが、鉄腕たるゆえんとも感じた。【MLB担当 斎藤庸裕】