新天地でメジャー5年目を迎えるツインズ前田健太投手(32)が15日(日本時間16日)、本拠地ターゲット・フィールドでの紅白戦に先発し、5回3安打1失点2四球4奪三振と順調な仕上がりを見せた。1回、先頭打者本塁打を浴びたものの、その後は小気味良いリズムで好投。走者を許しても、3併殺で切り抜けるなど、熟練の投球を披露した。

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登板後、この日の最速を聞かれた前田は、“お約束”となりつつあるジョークで笑いを誘った。「98マイル(約158キロ)ですかね」。ハイテク時代ながら、練習の一環とあって公式には計測されず、前田の自己申告によると150キロ前後。その一方で、67球を振り返る表情は真剣だった。

試合開始は公式戦のナイターと同じ現地午後7時5分。ユニホーム、ダッグアウトも別々だった。バックミュージックや効果音も流れた。前田も公式戦と同じルーティンでマウンドへ向かった。「シーズンが始まったら雰囲気もこういう感じになるだろうと思って投げていました」。

1回。昨季36発とブレークしたケプラーに先頭打者本塁打を浴びたことで、スイッチが入った。1回、2回、4回と、走者を背負った場面は、いずれも注文通りに併殺で切り抜けた。2ストライク後は、捕手アビラのサインに首を振り、投げたい球にこだわる姿勢も見せた。「気持ち的にもシーズンに近い感じで投げられたのは収穫でした」。

新球カットボールの手応えも十分だった。左打者の内角へ切り込んでファウルを打たせたかと思えば、外角のボールゾーンから鋭く出し入れを繰り返して翻弄(ほんろう)した。中止期間中、自宅のあるロサンゼルス近郊で盟友のレッズ秋山と合同トレを続けた。和気あいあいとした雰囲気の中でも、カットボールに磨きをかけた。「キャンプが中断した時(3月中旬)よりも良くなっていると思います」。

見守ったバルデリ監督も賛辞を並べた。「カットボールがすばらしかった。走者を出しても。我々がまさに望んでいた投球をしてくれた」。正式発表されていないものの、ツ軍デビューは3戦目となる26日(同27日)の敵地ホワイトソックス戦が濃厚。「開幕から100%」を宣言していた前田が、その言葉通り、キッチリと仕上げてきた。