米大リーグの20年シーズンが23日(日本時間24日)、ナショナルズ-ヤンキース戦、ドジャース-ジャイアンツ戦で幕を開ける。新型コロナウイルスの感染拡大で当初の予定から約4カ月遅れでの開幕。今季からメジャーの舞台に臨むレイズ筒香嘉智外野手(28)は、ポジションをつかみ取るべく、強い覚悟で1年目の戦いに挑む。開幕を目前に控え、心持ちを明かした。

筒香が奮い立つ感情を体現する。コロナ禍で大幅に遅れたメジャー開幕。いまだ感染者が増えている米国で特別なシーズンに臨む。

筒香 不安があるかと言えば、世界中の誰しもがある。そこは野球選手も、そうでない人も変わらない。(自粛中は)いろんなことを考えさせられた時間だった。そこについては何とも表現をしようがない。

3月下旬に一時帰国した成田空港は閑散としていた。6月29日に再渡米したときもまた、同様だった。

キャンプ再開後の7日(日本時間8日)。本拠地トロピカーナフィールドでは初、対投手も約3カ月半ぶりのシート打撃に臨んだ。心底からアドレナリンがわき出た。対戦したアルバラドは、荒れ球が特徴的な160キロ超左腕だったが、恐怖心はみじんもない。問答無用で打席に立った。

筒香 怖いと思ったら僕はここでは通用しない。逆にめちゃくちゃ楽しかった。野球をこんなに楽しいと感じたことは久しぶり、いや、初めてかもしれない。

一時帰国中は故郷の関西地方で鍛錬の時間を過ごした。単身で地道なトレーニングを積み上げ、我慢強く準備を進めた。

筒香 キャンプ、オープン戦で感じたことを、そのまま持ち帰って、しっかりと問題点、課題と向き合えた。言い方が正しいかは分かりませんが、自分にとっては、いい時間を過ごせたと思う。

研ぎ澄まされた感覚のまま自分自身と向き合った。突き詰めた時間の中で、メジャーで勝負するための策は「日本人らしさ」だと悟った。体格、パワーでは到底、太刀打ちできない。

筒香 ハンマーを振り回しても勝てない。日本刀を扱うような精神が必要。研ぎ澄ました心が必要。そう簡単には斬れない。心の重さもある。とてつもなく重い。ハンマーを力任せに振り回すのとは違う。

和食を好み、疲労感が強ければ肉よりも魚、野菜を選ぶ。食生活でも和を重んじてきた。

筒香 アメリカでの生活が始まって、この先は分からないけど、今は日本食を食べたいと思わなくなったらダメなんじゃないかと思う。日本食を欲する状態が自然だし、いい状態だと思う。

日本を代表するスラッガーが「和の心」を打棒に込め、全米進出する。【為田聡史】