今季は各球団がオーダーを固定せず、シャッフルする傾向が強い。チーム事情が異なるとはいえ、3年総額2100万ドル(約23億1000万円)の大型契約でレッズに加入した秋山翔吾外野手は開幕戦ベンチスタート。左腕相手でスタメンから外れたが「アピール不足。実力です」と受け止めた。2年総額1200万ドル(約13億2000万円)で移籍したレイズ筒香嘉智外野手は本塁打デビューを飾り、2戦目は「4番」に座ったが、続く3戦目でスタメンから外れた。

新型コロナウイルスの影響で3月中旬にキャンプが中断。約4カ月のブランクが空いて再開したキャンプは主に小グループごとに行われた。紅白戦などを行ったものの、わずか3週間で開幕を迎え、本格的な実戦不足は明白だった。

しかも、負担軽減、緊急時の対策として最初の2週間はベンチ入り枠が26人→30人まで拡大された。グラウンド内外での行動も規制され、練習場所、体のケア、トレーニングも時間が限られる。遠征先では外出できずホテルと球場の往復のみ。現時点で30人全員にプレー機会を与え、実戦感覚を維持しなければ、シーズン最後まで戦い抜けない。

レッズのベル監督は「(秋山)翔吾に左投手を打つ能力があること分かっている。ただ、今は左に強い打者を起用している」と右打者を並べる理由を明かす。代打の多用だけでなく、先発投手が80球前後で交代し細かく継投するのも、全員起用策の一端といえる。

誰も経験したことのない特殊なシーズンは、過去の経験、常識が通用するとは限らない。監督の手腕、球団の方針が、最終順位に大きく作用しそうだ。【MLB担当=四竈衛】